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□楽しいお正月風味
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汗でしっとりとした髪を指で梳く。覆いかぶさると、まだ少し早い鼓動が伝わってきた。

『…そろそろ帰らないと、お母様が心配しますよ』

大晦日の夜にキミの部屋に上がり込んでから4日経つ。…今日まで1歩も外に出ていない。
一緒にカウントダウンして、初日の出を見て初詣をする予定だった。
どの番組でカウントダウンしようか、紅白はどっちが勝つか、日の出は何時頃なのか、色んなコトを話したけど、どれも意味が無かった。
年が明ける頃はベッドの中で、
気付いたら深夜1時だったからいつ年が明けたか分かんないけど、とりあえず『おめでとう』を言ってキスをした。
紅白の結果なんて知らないし太陽ももう4回昇ってる。
カーテンは閉めたまま、携帯の電源も切ってテレビもつけてない。
この4日は腹が減ったら食事をして眠い時に寝て、あとはほとんどベッドの上。服を着た記憶があまり無い。
乱れた生活って、きっとこーゆー事。

『初詣、行きたいんでしょ?』
『行きたいです!』
『じゃあお風呂入ったら行こうか』

ここ3日はこの会話の後、一緒にお風呂入って背中洗いっこの辺りから止まらなくなってテキトーに泡を流してベッドになだれ込んでシーツがずぶ濡れになるのも気にせず抱き合って、バスタオルとか敷いてそのまま寝ちゃう、の繰り返しだったけど、今日こそは本当に連れてってあげる。そろそろ参拝客も少ない頃だし。
でも4日も廃人生活してると外に出るのは寒いし面倒臭い…。

ベッドの中でキミを抱き寄せる。
『獄寺くんは何をお願いするの?』
『ボンゴレの繁栄と、…10代目の幸せを』
キミがはにかんだ様に笑う。後半のお願いは早速叶ってしまったようだ。

『俺のはね』
『はいっ』
『今年も獄寺くんが飽きずに俺の傍にいてくれますように』
キミが目を丸くして俺を見る。
『あの、今年も来年もずっと、傍にいたいです』

恥ずかしい事を恥ずかしげもなく言うキミが可愛くてキスをする。
もうこうなると止まらない。

『んっ、…ふぅ』
『キミが悪いんだよ』
『じゅ、だいめっ…』

キミの抵抗はささやか過ぎて抵抗になっていない。
言いたい事は良く分かるけど、
二人の願いを神様に聞いてもらうのは、また明日になりそうだ。



end

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