ダイヤモンド

□笑顔の理由
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「ねぇ、ってば!」
「はっ。 …何だよ。」
「何だよ、じゃないでしょう。 そっちこそ、何よ。 ボーとしちゃってさ。 …あっ!!!」
「な、何だよ、突然デカイ声出して。 ビ、ビビるだろ。」
「ふふ。」
瑠里がニヤリと笑う。

「な、何、ニヤついてんだよ。 気持ち悪ぃなぁ。」
「分かった。 叶、あんた、レンレンがあっちで楽しそうだから、寂しいんでしょ?」
「!!! な、何言って、…そ、そんな訳無ぇだろー!」
「ぷっ。 ストライクだったんだ。 もう、素直じゃないんだからー。 そんな、顔真っ赤にして、ドモって言われても説得力無いよ〜。」
ケラケラと、目尻に涙を浮かべて瑠里が笑っていた。

「て、テメー、泣くほど笑ってんじゃねぇーよ!///」
「ははっ。 ごめん、ごめん。 あんまりにも、動揺してる叶が可笑しくて。 …本当にさ、2人とも良かったよね。」
「ふんっ。 …何がだよ。」
「もう、本当にごめんってば。 拗ねないでよ。」
「拗ねてねぇよ!」

涙を拭きながら、瑠里が続ける。
「だってさ、叶もレンレンの事、凄く気にしてたじゃない。 野球続けてるか、とか。 あたしもね、レンレンの笑顔見てホッとしたんだ。 ウチに居たときってさ、殆んど笑った顔見た事無かったから。 だから、本当に良かった、って思ってるんだよ。」

にこやかな微笑みを向けられ、今まで燻っていた気持ちも、どこかに吹っ飛んでしまった。
「…そうだな。 良かったんだよな。」
「うん。 そうだよ。 叶も、負けてらんないね。」
「ああ。 俺も廉に負けない様に頑張んないとな。」
叶が、真っ直ぐ前を見据えて言った。
そんな叶を頼もしく感じ、ずっと思っていた事を言葉にしてみた。
「…ね、叶。」
「ん?」
「甲子園に応援しに行きたいな。」
「! 連れてってやる。 …とは、言い切れねぇけど、其のつもりでいろよ!」
「うん!」
「///」

瑠里のとびきりの笑顔に、一撃されて、理解した。
(そっか。 俺の事で笑って欲しかったのか。 …でも、いきなりその笑顔は強烈過ぎるだろ。 ほら、また顔が…。 うぅっ、言い切れ無い所といい、俺って、まだまだ、だな…。)

〈Fin〉
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