色々
□変わらずに在るモノ
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僕の、一番古い記憶。
それが幾つ位の事だったとか、場所が何処だったとか、そんな細かい事は全く憶えて無いけれど、鮮明にこの脳裏に浮かぶ映像がある。
僕に、思い切り笑いかける、幼い女の子。
僕は、その子の事が大好きだった・・・
「ねえ、ねえってば!」
「うーん。」
「もう、いくら暖かくなったからって、こんな所で寝てたら風邪引くよ。」
心地よい眠りから、聞きなれた声に引き戻される。
何だか、懐かしい夢を見ていた気がする。
まだ、覚醒しきらないぼんやりとした頭のまま、重い瞼を持ち上げる。
逆光で表情は見えなかったが、長い髪の女の子が僕を覗き込んでいた。
「ん・・・」
「確かにさ、ここ、日当たりがいいから、本なんか読んでたら眠くなるけど、もうそろそろ、日が翳ってくるよー。」
僕の返事が無い事なんか、お構いもしないで、彼女は話し続けながら、僕の足元の僅かな開いた場所に腰掛ける。
「うーん。 やっぱり、ベンチにこの格好のままで座るのは狭いわねぇ。 そうだ、こうしちゃえばいっか。 よいしょっと。」
「ぅわっ、な、何してるの。」
「うん? こうした方が、お互い楽かなって。」
両足の下には、ズボンの布越しに柔らかく暖かい感触があった。
頭を起こして、その感触の原因を確かめると、彼女の両腿の上を横切るように、足を伸ばされていた。
視界に映る、見慣れない身体の重なりに、突然、激しい羞恥を覚えた。
「そ、そんな格好・・・、お、起きる。」
慌てて起き上がり、顔に熱が集まっているのを感じて、彼女と少し離れた所へ腰掛けた。