ナナイロ
□それでも
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分かっている、つもりだったんだね。
でも、全然そうじゃなかった。
多分、何も分かってなかったのかもしれない。
あなたの、ほんの一部しか。
あなたに、初めて本気で怒鳴られて、あなたの事を、初めて怖いと思った。
あなたの本気の怒りを、向けられた事が、悲しくて仕方なかった。
それ以上に、あなたの苦悩や不安に、気が付けずにいた事が。
ずっと、見ていたはずなのに。
あなたの側に、居たはずなのに。
階段の隅が、いつもの場所だった。
日常が、日常では無くなった日から、ほぼ毎日ここへ来た。
これから先の事を考えると、不安で仕方なかった。
もしも、このまま元の日常へ戻れなかったらと考えると、怖くて怖くて、堪えられない涙をここで流した。
誰も来ない、この場所で。
ここなら、一人で泣けるから。
まさか、あなたがここへ来るなんて。
忘れかけていた、あなたを好きになった、あの頃の気持ちを思い出した。
優しい、あなたを大好きになったあの頃を。
どこまでも、着いて行きますね。
あなたの事を、支えられるように頑張るから。
大好きな、あなたの笑顔を見たいから。
「じゃ、京子ちゃんにも言っておいてよ、絶対だよ!」
どんなに、あなたの一言が、胸に突き刺さったとしても。
それでも、好きだから・・・