‡Z×C‡短篇‡

□Please say yes,yes,yes
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「クラウド、結婚しよ」

ある日の午後5時すぎ。クラウドが居間のソファで雑誌を読んでいると。
ザックスが夕日を背負い込みながら真面目な顔してそう言った。情緒ある光景だったが、クラウドはあえて冷たく返す。

「…なんで?」
「えっと、愛してるから?」
「…疑問形なわけ?」
「いややや、愛は確実にあふれ出て止まらないほどあるけど!」
「けど、何」
「けど、このままでもすんげぇシアワセなのに、何で結婚が必要なのかは俺的にまだ、謎だから」

ザックスがヘラヘラと笑ったのを見て、クラウドはため息。こいつ何がしたいんだかさっぱりわからない。言ってる意味もわからない。仕方なく、クラウドは雑誌をテーブルに置いて、ザックスの目を見た。

「丁重にお断わりします」
「えーーー?!」
「だってアンタが言ったんだぞ、結婚する意味がわかんないって。俺も同感だよ。そもそも出来ないし、男同士じゃ」
「えーーー?!」
「うるさいな!一体何なんだよいきなり!」

ザックスが、さほどショックを受けたようには見えないのがクラウドは腹立たしかった。
本音を見透かされているわけで。
もちろん二人は結婚なんて出来ないが、当たり前な話、愛する人からのプロポーズ自体は嬉しい。クラウドには口が裂けても言えない事だけれど。

「いや、何となく。男のけじめってやつ?」
「何それ」
「俺驚いたんだよね、年末調整の時。配偶者の欄にクラウドの名前書いたら、名字ストライフなんだもん」
「当然のように書くなっつーの」
「やっぱさ、早くクラウド・フェアになってもらわないと困るわけよ」
「何がどう困るんだよ」
「だって夫婦も同然なのにさ、籍入れない方が不自然じゃん」
「…ザックス、結婚は出来ないし名前も変わらないって、俺は分かっててあえて言うけど。…名前が変わるなら、ザックスがザックス・ストライフになったっていいんじゃないか」
「ダメダメ、奥さんはクラでしょ?旦那様は俺!ここは譲れないよ、クラの頼みでも」
「別に頼んでないけど…それに名字で家庭内の位置関係が変わるわけじゃないだろ」
「そうだけどさぁ、やっぱお嫁さんにもらうからにはさ、クラのお母さんを安心させなきゃダメでしょ?経済的にも精神的にもベッド上でのテクも、な〜んにも心配いりませんよ、って」
「…最後のは無駄として、まぁ一理あるよね」
「最後のが大事なのに…。まぁ、だからやっぱり身を任せてもらう立場としてはさ、俺の名前を貰ってほしいわけよ」
「いいけどさ、別に」

本当は嬉しいのに、つっけんどんに答えるクラウド。しかしお見通しなザックスは満面の笑み。
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