hbyz


□楽しませてあげるよ
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とあるホテルの一室では軽快な音楽が鳴り響いていた。


ーーーーー Shake your arse,Come over here,Now scream ♪

曲にのせながら両腕を上げ手を組めばユヅの細い腰が強調され、そして歌詞の通り小さく腰を揺らしながら尻を振る。かきあげた前髪、黒のレザーパンツにピタっとしたジャケット風の衣装。体のラインが強調され、試合のはずなのに男も女も虜にしてしまうような色気を放っている。
「…はぁ、ユヅ、最高だよ」
ハビエルはパソコンの画面を真剣に見つめながらぼそりと呟いた。
「ハビ〜また見てるの?気に入ってくれたのは嬉しいけどさ。なんか恥ずかしいよ…」
ひょこっと別の部屋から現れた結弦が姿を見せもう数時間前から変わらない姿勢のハビエルにやや呆れ気味だ。結弦はベッドに腰掛けパソコンにかじりつくハビの背中に話かけるがこちらを見る素振りもない。
「衣装から振り付けもジャンプもステップも全てが大好きなんだよ、ユヅが考えたものがこのプログラムに詰め込まれてると思うと興奮するんだ、」
「気に入ってもらえて嬉しいけど、でもさ、ハビ…さっきからShake your arse,Come over here 〜のパートばっかり見てない?」
「ああ、だって君が曲に合わせて小さくお尻を振る姿が可愛いんだよ」
「な、なっ!」
「僕と愛し合ってる時は大体に振ってるのに、演技中の控えめなユヅが可愛らしくて」
「そんなこと考えながら見てたの?!」
(…フィギュアスケートに対してもマイペースで自分以外の演技を見る方じゃないハビがいつになく真剣に試合の演技に熱をあげて見てるから何かと思えば、やっぱりハビはハビだったか…」)
ムッと不機嫌な結弦の顔を見てこれはやばいと、ハビエルはフォローに入る。
「ユヅ、怒ってるの?もちろん君の素晴らしいジャンプやステップもちゃんと見てるからね」
「そんなこと言って、いやらしい目で見てたじゃん…それにっ、なんで本物がここにいるのにハビは画面ばっかり見てるんだよ!」
結弦は言った瞬間、「あっ」と後悔したがもう遅かった。ハビエルはにやにやしながら嬉しそうだ。
「ユヅ、もしかして自分に嫉妬してるのかい?可愛いなあ、僕はスケート選手のユヅも今ここにいるありのままの素なユヅも大好きだからね」
ハビエルは揶揄うように言いながら結弦の元へ行きそっと抱き締めようとしたが、その瞬間ものすごい力で引っ張られ視点が反転した。気づけば視界に広がるのは天井と結弦のにやりとした顔。結弦にベッドに押し倒されたのだと理解した瞬間、結弦は仰向けに寝るハビエルの腰の上に跨る。
「ユ、ユヅ?」
「いいさ、別に」
「急にどうしたんだい?」
「ハビが画面の中の羽生結弦にもう夢中になれないぐらいに…」
そう言いながらハビエルの耳元に近づき囁くように言った。

「俺が楽しませてあげるよ」
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