短編

□出逢い【後編】
1ページ/2ページ









「朱里…」

「ん?」

「朱里だけに言うけどな…」

「え?なに?」

「太田さんから……きって言われたんやけど…」

「え?なんて?」


「だからその…好きになった…って」

「へ!???」





あれから返事はどうしようか…考えない日はなかった。すれ違っても緊張して…どんな顔したらいいかわからなくて、目すら合わせられなかった。

私1人ではどうしたらいいかなんて考えても全くわからなくて…恋愛上手(?)な朱里に相談した。





「それで?さや姉はどうなん?」

「わからへんねん…」

「でも悩むってことは…興味なしではないんやな?」

「多分…」

「太田さんも不安やと思うで?」

「え?」

「だって、考えてみ?先生に告白するんやで?しかも生徒の立場で」

「……」

「それなりの覚悟はあったやろなぁ。」

「だけど…」

「さや姉が気にしてんのは周りの目やろ?」

「え?」

「先生と生徒だし…女の子同士だし…って」

「それも…なくはない…」

「気にするのは分かるけど、1番大事なのは自分の気持ちやで?」

「自分の気持ち…」

「バレちゃいけない間…隠し通せばバレないやん!」







こういう時の朱里にはほんとに頭が上がらない…1人でどうしようか悩んでる私に的確な言葉をくれる。適当にせず私の気持ちも考えた上でしっかり話を聞いてくれて…





「がんばりや!どっち選んでも応援すんで!」

「朱里ぃ…ありがとう」








私の気持ちが決まったはいいものの…どう話しかける?
普通に?太田さんって呼べばいい?できるんか?そんなこと…




でも決めたからには……









なんて思ってたけど、

何度かすれ違ってもやっぱり声はかけられなくて……そんな感じで勇気が中々でないまま迎えてしまった放課後…




職員室に入って自分のデスクに向かい椅子に腰をかけた時、

隣からの声によって背中を押され…どこにいるかもわからないのに学校中を歩き回っている私…




「会えるわけないよな…」



諦めて、また明日でいいかなと思いかけた時、目に映ったその姿。チャンスは今しかない。




「お、太田さん…!」

「…え?…私?」

「ちょっと…話したいことが…」

「あっ…はい。」

「その…この間の場所に…」




気まず過ぎる…この前は、よく話してくれた太田さんも…今は一言も発さなかった。





ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ