短編
□出逢い【後編】
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「朱里…」
「ん?」
「朱里だけに言うけどな…」
「え?なに?」
「太田さんから……きって言われたんやけど…」
「え?なんて?」
「だからその…好きになった…って」
「へ!???」
あれから返事はどうしようか…考えない日はなかった。すれ違っても緊張して…どんな顔したらいいかわからなくて、目すら合わせられなかった。
私1人ではどうしたらいいかなんて考えても全くわからなくて…恋愛上手(?)な朱里に相談した。
「それで?さや姉はどうなん?」
「わからへんねん…」
「でも悩むってことは…興味なしではないんやな?」
「多分…」
「太田さんも不安やと思うで?」
「え?」
「だって、考えてみ?先生に告白するんやで?しかも生徒の立場で」
「……」
「それなりの覚悟はあったやろなぁ。」
「だけど…」
「さや姉が気にしてんのは周りの目やろ?」
「え?」
「先生と生徒だし…女の子同士だし…って」
「それも…なくはない…」
「気にするのは分かるけど、1番大事なのは自分の気持ちやで?」
「自分の気持ち…」
「バレちゃいけない間…隠し通せばバレないやん!」
こういう時の朱里にはほんとに頭が上がらない…1人でどうしようか悩んでる私に的確な言葉をくれる。適当にせず私の気持ちも考えた上でしっかり話を聞いてくれて…
「がんばりや!どっち選んでも応援すんで!」
「朱里ぃ…ありがとう」
私の気持ちが決まったはいいものの…どう話しかける?
普通に?太田さんって呼べばいい?できるんか?そんなこと…
でも決めたからには……
なんて思ってたけど、
何度かすれ違ってもやっぱり声はかけられなくて……そんな感じで勇気が中々でないまま迎えてしまった放課後…
職員室に入って自分のデスクに向かい椅子に腰をかけた時、
隣からの声によって背中を押され…どこにいるかもわからないのに学校中を歩き回っている私…
「会えるわけないよな…」
諦めて、また明日でいいかなと思いかけた時、目に映ったその姿。チャンスは今しかない。
「お、太田さん…!」
「…え?…私?」
「ちょっと…話したいことが…」
「あっ…はい。」
「その…この間の場所に…」
気まず過ぎる…この前は、よく話してくれた太田さんも…今は一言も発さなかった。
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