短編
□出逢い【前編】
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「なぁ…さや姉」
「ん?」
「太田…夢莉さん…って知ってる?」
「あぁ…なんとなくなら…」
「美人やない!!?」
「びっくりする…いきなり大きな声ださんといて…」
「やっぱり朱里の予想通り…」
「…なにが?」
「美人な上、優しいってモテてるらしいで?」
「…なんでそんなん知ってるん?」
「…生徒たちが噂してたから」
「噂好きやなぁ…」
「痴漢されてた他校の女子生徒、助けたらしいで?」
何度か見かけたことがあったけど顔が綺麗だなぁくらいしか思ってなかった。
太田さんの噂は多分この学校の生徒ほとんどが聞いたことあるんじゃないか、くらい有名で…私も実際告白されてるとこを見かけたことがある。
歳のわりには大人っぽくて落ち着いてるイメージだったから、そんな優しい一面があるとは知らなかった。
「なぁ、夢莉?」
「ん?」
「また呼ばれたんやろ?」
「ん〜…」
「こんな告られてんのに…恋人つくらんの?」
「告白してくる人、みんな私のことそんな知らんやろ」
「付き合ったら変わってくるかもしれへんで?」
「なんか…こう、違うんだよね…」
「やっぱモテる人は違いますね〜」
「モテないって…」
「なに…じゃあ、気になる人でもいるんか?」
「……いいって、もう…」
「え!まじ!?あたり!?」
「うるさい…」
告白してくる人は…いる、だけどみんなどうせ私の外見しか見ていない。中身を知ろうとしてる人なんて誰一人いない。
私自身、人に興味を持ったことが今まであまりなかった、はずなのに生徒と楽しそうに笑い合う彼女の姿を見かけて目を奪われたあの時から気になって気になって仕方がなかった。
だけどその相手は安易に想いを伝えられる人ではない。
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