短編

□小さくなっちゃった
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「……ゃん…」

「ーか…ちゃん」




頬をペチペチと叩かれる感覚と共に遠くの方から声が聞こえた。




「ん……」

「さーかちゃん…」

その正体は小さくなった夢莉で、重い瞼を薄ら開ければ目に涙を浮かべながら必死になって私を起こそうとしていた。




「…どしたん」

「起ちて…」

「起きてるでぇ」

「やぁや…寝ちゃやぁや」


「寝てないって…ほら」



仰向けになって寝ている私の上によじ登ってきて寝ちゃだめだと言う夢莉に対して、瞼の重さに逆らえず目を瞑ると、さっきと同じように頬を弱い力で叩いて起こそうとする。


完全に目を開けて起きているのにまだぐずぐすしているから夢莉を抱き上げそれと同時に私もベッドから起き上がる





「あ、寝すぎたなぁ…」


お昼ご飯まだだし、、お腹空いちゃってぐずってたのかな?



「ご飯食べよっか」

「あぃ」


「じゃあ、行くよ〜」

「レッチュゴー…」



そう言って右腕上げて出発する気満々だけど私の膝の上からは動かない。さては歩かない気だな??



「ゆーりたん、下りんと動けへんで?」

「動けりゅ…」

「歩かんの〜?」

「んぅ…」

「ゆーりたん?」

「もぉじぶんで、ありゅきゅ…」


「あ…」



テクテク歩いて行っちゃった夢莉の後を追うけど
もうなんか…歩き方からして不機嫌なご様子。




「ゆーり」

「…」


後ろから声を掛けるけど、振り向きもしなければ返事もしない。



「何食べたい?」

「…なんじぇも」


「フレンチトーストでいい?」

「ん……」



キッチンで遅めの昼食を作っていると椅子に座って待っている夢莉がチラチラこっちを見てくる。
私が見れば、すぐに目を逸らしてるけど、バレてんで〜??なんて内心楽しんでいた






「よしっ…できた」


2人分のご飯を両手に持ち夢莉が待つテーブルへと運ぶ。


「いただきます」

「いたらきましゅ」



フォークなら食べさせんでも上手く使えると思ったけどやっぱ慣れないらしくて手こずっている。


一生懸命フォークでパンを切ろうとしても小さい女の子の力では、なかなか切れないみたいで




「小さく切ってくるからちょっと待っててな」

「あぅ…」



1口サイズに切って渡すけど…

フォークって難しいんかな?中々フォークを刺せなくて


「あーんしよか??」

「じぶんでたべるもん…」



まだ不機嫌な感じは続いているようで意地でも自分で食べようとする







「んぅ…ったべりぇないぃ…」

「あぁ…そんな泣かんでも…」


「…っ…グスッ…」


「ほら、ここをこう持って…そのまま…」


「持てちゃ!」

「それでそのまま口に運んで…」


パクっ


「にひぃ食べれちゃ」

「偉いなぁ〜」


相当嬉しかったみたいでにこにこしながら食べてる夢莉。

「おいしい?」

「あぃ!」

「ふふっよかった」




ご飯食べたら機嫌が治ったらしく…
朝洗えなかった分の食器も合わせて洗っているとずっとこっちを見てるから



「どしたんゆーりたん!」

「フレンチェ?…トールト?」

「フレンチトーストな?」

「おいちかた!」



お腹いっぱい食べて満足したゆーりを抱っこしたまま





「なにしたい?」

「んぅ…」

「なんでもいいで」


「さーかちゃんと遊びゅ!」

「それは…そうだけど///」


不意に言われた夢莉のストレートすぎる言葉に不覚にも照れてしまった。


「いっそがいい!」

「おもちゃも無いしなぁ」

「なぁぁ」

「ん〜…どうしよかぁ」

「さーかちゃ!あっち行きゅ!」




そう言う夢莉が指差した場所はソファで…特に何も持たずにソファに座れば
私の膝の上に向かい合わせに座って、何をするかと思いきや私の顔で…遊んでる???
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