短編

□重症
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「さやかちゃん、ちょっと、、スマホだけ取りたいのですが…」

「嫌や…」

「ちょっと動くだけだから、ね?」

「スマホなんていいやん…」

「……」

「……くっついてたいの」



「わかった…じゃあお手洗いだけ行かせて…?」




今日は朝からずっとこんな調子で
なにがあったのか聞いても唸るだけで、
抱きついたまま離してくれない。








「ほんっとにすぐ戻ってくるから」

「…」







黙ったままだけどまわされた腕が離されたから
自分でも驚くくらいの速さでお手洗いへと向かう。

手を洗って急いで寝室に行けば
眉を下げて寂しそうな表情をするさやかちゃんがいた。



「ごめん…遅かった?」

「…ううん、、」





今にも泣きそうな顔をしながら上目遣いで
こっちを見てきて今日は駄々っ子の甘えん坊の日なのかな
そんなさやかちゃんも大好きで、今度は私がギュッと抱きしめる。








「ゆうり…」

「どしたの?」

「お腹、すいた」

「ふふっ、じゃあ朝ごはん作るね」




身体を離そうとしても離れないってことは
連れてってほしいんだと思い、さやかちゃんを抱き上げてリビングへと連れて行き、ソファにそっと降ろせば

さっきの寂しそうにしてた表情から、笑顔になってた。

その姿はほんとに小さい子供のようで可愛くて
頭を撫でれば気持ちよさそうに目を細めて微笑む。




離れ難いけど、さやかちゃんのためにと
朝ごはんを作りにキッチンへと向かう。
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