短編

□貴方だから
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「もう…っ、、夢莉なんて…いやや、っ!」

「え…?」






久しぶりのお泊まりで楽しみにしてたのに
先に帰ってたさやかちゃんは不機嫌な様子で


「おかえり」もなければ話しかけても
相槌でしか返ってこない。



何に怒ってるのかわからないけど、怒ってるのは
確かでどうしたのか聞いてみたら、この感じ。






俯きながら泣いてるさやかちゃんが落ち着くまで
隣に座ってそっと頭を撫でる。




ここで私も感情的になったら
二度と取り返せないことになりそうだから、、



冷静になってさやかちゃんが落ち着くのを待つ。





嫌がらないってことは、、大丈夫なの、かな?












さやかちゃんの溢れていた涙もおさまってきて






「……落ち着いた?大丈夫?」



「…夢莉、、いやや。。」



「……ごめん、ね?なんかしちゃった?」





収まったはずの涙がまた溢れてきて





「ここ、おいで?」


「…いい」



「ちゃんと話してほしい、」

「……」


1回、断ったからなのか行きにくそうにしてる

さやかちゃんを抱き上げて膝の上にのせる。




顔を覗き込めば目も鼻も真っ赤で、、




いつもは元気な彼女をこんな姿ににしてしまったのは自分のせいだと改めて思うと心苦しいし、、

ほんとにそんな自分が情けない…




「…大丈夫?、どうしたの?」



「っ、夢莉は…だれのなん…?」



「へ??」





「わたしの、っ、、じゃないん…?」





「…さやかちゃんの、だよ…?」






目の前の愛おしい恋人は、なにが不安なのか
溢れる涙はとまりそうになくて、こんな時に失礼かもしれないけど、その姿は6歳年上とは思えない小さい女の子のようでただひたすらに愛おしかった。








「わたしの、だけがいい…」



「さやかちゃんのだけだよ。?」



「なんで、、なんで、皆からそんな…モテるん?」



「え?」


「それに、夢莉も、ニヤニヤしちゃって」


「そんなつもりはないんだけど、、」



「あほ、ばか……」




「そんな言わんでも……モテてないし、もしそうだったとしても私はさやかちゃんだけだから」







ギュッと抱きついてくるさやかちゃん。


その小さい背中をそっとさすれば





「ごめん、重いやんな」



反省会ひらいてるのかな、?笑

今度はまた別の意味で落ち込んでしまってるみたいで、、




「ううん、重いくらいがちょうどいいから」




「…独占欲、、強いやんな?、」



「ふふっ、まぁうん。強いかもね?」


「やんなぁ……」




更に反省して落ち込んだみたいだけど

私に抱きつく力は強くなるばかり


落ち込ませちゃったのは紛れもなくここにいる自分だから、責任もってさやかちゃんを慰めるのも私の役目、?


そんな使命感に駆られて




「…でも、それもさやかちゃんだから。」


「…ん?」





「さやかちゃんだから、、どんなに独占欲強くたって、重くたって、甘えん坊でも、それは全部さやかちゃんらしさ、だから…」





「……っ、」





「だから気にして治そうとしなくてもいいんだよ?我慢しなくていいから。ぶつけてほしい。そうゆうとこ全部含めて好きだから、。」



「……っ、ゆうりぃ、っ、、」


「あ、また泣いちゃった、、?笑」



「…あほ、、もうっ、すき、」



そう言って泣いてるさやかちゃんを
ギュッと抱きしめる。



「今日は泣いてばっかだね」


「…夢莉のせいやろ、」



「それもそっか、ごめんね。」




これは私も反省して、、


、、、、たら………









そっと唇が重なった。さっきまで私の胸に顔を埋めて泣いていた彼女が
いまは私の目の前でニヤニヤしていて、、



「なんなん、、?」


「いい意味でも悪い意味でも私を泣かせられるのは夢莉だけやな」




「それは…」




「好きやから。夢莉のことになるといっぱい、いっぱいになっちゃうねん。」



「さやかちゃん……」




「責任とってや?」



「あたりまえだよ。」



その言葉と共にどちらからともなく

引き寄せられるように唇をあわせた。


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