短編

□こんな日は。
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休日の朝、いつも起きる時間を
かなり過ぎても起きてこないさやかちゃん。

ご飯の準備をして起こしに行く。


「さやかちゃん」


肩をとんとん、と叩くと閉じていた瞼がゆっくり開く。


「……ん、、、いまなんじ?」


目を擦りながら聞いてくる姿が
幼い子供みたいで愛しさが溢れた。


「11時過ぎかな」

「ん〜……おなかいたい…」




さやかちゃんが起きてこない理由がわかった





月に1度の大変な時期。
この期間のさやかちゃんは

いつもの倍以上、甘えん坊になる。





「薬、持ってくるよ」

「いやや…」

「でも…薬飲んだほうが痛いの少しは治まるよ?」

「夢莉のほうがええ…」


そんな寝起きで目をうるうるさせて言われたら
断れるわけがなくて、、、無意識なのかなぁ。




今日は休みだし、時間もまだあるから
無理に起こさず
さやかちゃんの隣に行く。





「ギュッてして?」

「うん」


わたしの胸元に顔を埋めた
さやかちゃんが少し離れて


「せっかくの休みなのに…ごめんな…」


わかりやすく眉を下げて申し訳なさそうな表情をする





「ううん、全然いいよ。」





そう言って頭を撫でれば








「めんどくさない?」

「かわいすぎて困っちゃう…」



「……///」






照れてるさやかちゃんも可愛すぎるけど


少しでも楽になるようにと私にできることをして
お腹をさすったり、手を繋いだりして痛みを和らげる。






30分ほどたったときに、さやかちゃんが








「おなかへった…」

「ご飯準備するからリビング行こっか?」

「うん…」


わたしが布団からでても一向に出てこない。



「抱っこ…」

「…////」


腕をのばしてるさやかちゃんを
抱き上げてリビングまで連れていく。




「ちょっと待っててね。」



ブランケットをかけて、ココアを渡して
キッチンに向かおうとすると服の裾を引っ張られて


「夢莉…」

「ん?他に取って来てほしい物あった?」

「ちがう……おはようのチューしてない…」

「へ!?//// ……、おはよ、さやかちゃん」

「ん…おはよ。」



微笑んださやかちゃんをみて胸が暖かくなった。




そうしてキッチンに向かったけど予定していた朝ごはんは、今日の体調だと食べるのは難しそうだし、、
再度準備し直すことにした。


「お待たせ〜」

「ありがと…」

「いえいえ」

「夢莉は?」

「食べたから大丈夫だよ」

「そっか。」

「あ、食べさせてあげようか?」


顔を紅く染めて無言で頷くさやかちゃんの
隣に座ってご飯を食べさせる。


「あーん…」

「ん…おいしい!!」

「よかったぁ」

口を小さく開けてパクっと食べるさやかちゃんは破壊力が尋常じゃない。







「よし、終わり!」

「ごちそうさま。ありがとう!」


片付けをしようと席から立ち、洗い物をしてると
後ろから温かいぬくもりに包まれた


「…あとちょっとで終わるから待っててね」

「うん…」


額を背中に押し付けて抱きしめてくるさやかちゃん。

洗い物を終えて後ろを振り向けば


「んん…ゆーりぃ…」


ギューッと抱きしめて甘えた声で私を呼ぶ


「ふふっ、かぁわい」

「ゆーーりぃ」

「おなかいたい…よね?」

「いたい…」

「薬、飲もっか?」

「…いやや」

「ちゃんと飲んだらご褒美まってるよ?」

「え!ほんま…?」

「うん!」


そう言うと目をキラキラさせて飲もうとするさやかちゃんは
ほんとに6歳も年上なのか疑うほど無邪気で、、、


そのあと、しっかり薬を飲んださやかちゃんは
飲みましたよ!?みたいなドヤ顔をして、こっちを見てくる。

2人でソファに座れば隙間なく、くっついてくるのがこれまたかわいくて
良くないと思いつつも少しだけ意地悪してみる



「夢莉〜」

「んー?」

「のんだで?」

「いい子いい子」

頭を撫でてみれば

「そうやなくて…!」

「え??」

「……ご褒美は?」

「いい子いい子〜って」

「えぇ…それだけなん……?」


さっきまではあんなにドヤ顔をしていたのに
今はしょんぼりしてて、


「うそだよ」


そう言って唇を寄せれば


「…!!?」

今度はすごい驚いた顔してて、こんな色んな顔させてるのは私のはずなのに忙しいなぁなんて他人事のように思う。





「よく飲めました」

「チューするなんて聞いてへん」

「言ってないもん」

「んん…もっかい」

「!???」

まさかのお願いにびっくりしたけど、

今度は長く唇を寄せる。


顔を見れば満足そうな顔してて


そんなさやかちゃんを膝の上に乗せて


「どう?おなか」

「薬、効いてきたんかな…少しは収まったで」

「よかった。あ、この体勢きついよね、」

「別にきつくはないけど…」


さやかちゃんをゆっくり隣に下ろして
手を出せば、しっかり指を絡めて繋いでくる


「今日はお家でいい?」

「お家がええ…」

「映画みる?」

「うん!」

「じゃあセットしてくるね」


この間2人で見たいと話していたDVDをセットして
ブランケットを持ってく。


「さやかちゃん、これかけて」

「あ、うん。ありがと」

「なんか飲む?」

「ううん、大丈夫やで」

「なんか飲みたくなったら言ってね?」

「うん」


私が隣に座れば隙間をなくすように
さらにくっついてきて

「夢莉、手…」

差し出された手をそっと握れば

「そうやない」

「え?」

「こう」

指を絡めて繋ぎ直すさやかちゃんに


「ふふっかわいい」

頬に唇をよせた。


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