短編

□出逢い【前編】
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「山本先生」

「ほんとに…もう……授業どうしたの?」

「サボりました」

「あのなぁ…」

「わかりました!用事済ませたら授業でるので!ちょっとこっち…着いて来てもらえますか?」





そう言って連れてこられたのは…空き部屋?
こんなとこ…あったんやなぁ…なんて呑気なことを思っていた。




「ここ…廃部になった部活の部室です」

「勝手にいいの?」

「大丈夫です。バレなきゃ。」

「…はぁ…それで用事って?」


「え〜っとその…」

「??」

「朝も言いましたけど……先生のこと気になるんです。」


「……」

「気になってたんですけど…昨日話してみて、好きに…なりました?」

「え?」





さっきまでのあの爽やかな笑顔はどこにもなくて顔を紅く染めて俯いてる。…こんな顔もするんや。
それになんで疑問形?そしてなんでこんな私冷静なの?





「あのぉ…」

「あ、、」

「こういうの…困りますよね。わかってたんですけど…」

「考えるな…?」

「え??!」

「え?」

「ふ、振られると思った…」

「あ、いやその…」

「…待ってます!」

「う、うん?」

「では!」

「では?」








断れなかった。いや、断ろうと思わなかった。あんな姿を目の前にしたら…

ニヤけてるよ…そう言いたかったけどその喜ばしそうな笑顔が可愛くて…ニヤけたままドアを開けて出て行った。







「あ!夢莉!どこいってたん?」

「にひひ…内緒」

「何その笑顔、可愛いけど気持ち悪いで…」

「どっちやねん」


「で?なに?いい事あったん?」

「別になんも…」

「わかるで?案外」






結局、言い寄ってくる勢いに負けて…話してしまった。





「まさかな!?夢莉がな!?」

「うるさい…」

「でもそれ絶対!脈アリやで!」

「期待させんといて…振られたら大ダメージ…やから」

「まぁ結果聞かせてな?」





その日から何度か学校内ですれ違うことはあったけど、話しも出来なければ目すら合わなかった。そんな状態が続き時間だけが過ぎていった。







「返事…まだなんかなぁ?」

「それ、私が1番聞きたいんやけど…」

「気を強く持ちや!」

「わかってるけど…」



なんかどう見ても避けられてるし、嫌われたんかな…。こんなことになるなら好きだなんて…言わなきゃ良かった。






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