ジヨテソ

□メルヘンな彼
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それから僕とじーくんの生活が始まった。

「じーくーん!ご飯だよ〜!!」

大きな声で呼ぶと、どこからかすぐにひゅっと出てくる僕の愛猫。
かれこれ家に来て2週間が過ぎた。
はじめは2、3日程置いてもいいという約束だったけれど、お母さんもじーくんの虜となって、彼はすっかり家族の一員になっていた。

「ねぇヒョン、やっぱり名前変えましょうよ・・・
ジヨンって名前にしたら絶対ワガママになるって!!」
 
オッレ、分かる!!と何故か毎日言い張るスンリに噛み付くじーくん。

「痛って!!だから、なんっでオッレばっか引っ掻いてくんねん!!」

相変わらずスンリには攻撃しまくるじーくんをチューして宥めながら、僕は幸せを感じていた。

こんな気分を感じる時は今までなかったのに、
お別れは突然にやってくる。

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それは真夜中のことだった。

お腹の上にじーくんが乗り、いつもの様に寝ていると 、ズシリと腹部に痛みが走った。

(痛ったい・・・じーくんなんかあったのかな??)

寝ぼけた頭で考えながらお腹をみると、僕は同い年ぐらいの男の子に跨がれていた。

えっ・・・・・・!!??


思わず起き上がって大声を出そうとすると、
その男の子に手で口を塞がれ、再びベットへ押し付けられてしまった。

僕はパニック状態になったが、どうやら男の子もすごく動揺しているらしく、もう片方の手の甲を額につけ、ひどく項垂れていた。

少し時間が経つと僕も落ち着いてきて、そっと口を覆っていた手を外すと、彼のことを観察した。

切れ長の鋭い瞳に、すっと通った鼻筋、薄い唇。炎のように真っ赤で少し傷んだ髪。

僕はなぜか一目見て分かってしまった。

「もしかして・・・じーくん?」

自分でもバカバカしいと思いながら、つい、聞いてしまった。だってそっくりなんだもん。
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