タプテソ

□一緒に溶けたもの
2ページ/4ページ

・・・とまぁそんな態度取ったけど、明日は収録あるし?喧嘩のままだとメンバー内の空気も悪くなるし?

別に仲直りしてもいいかな?なんて思って、僕は仲直りの方法を考えた。

ボーッとテレビを見てた時だった。

ただの気まぐれだったんだ。
普段料理なんてしないのに、誰でもできる簡単生チョコ&シフォンケーキ、なんてやってて、絶賛喧嘩中の甘い物が大好きな彼の顔が浮かんだ。
《誰でもできる》なんてついてるから、僕にだって出来るはず。

部屋中にはむせ返る様な甘いチョコの香りが広がった。正直僕はこういう匂いはあんまり好きじゃないんだけど、彼が喜んでくれるかもしれないというだけでどうでも良くなった。


これあげたらどんな反応してくれるかなぁ・・・
ひょっとしたら、『テソナ、大好き!!』とか言ってくれたりする?喧嘩のことなんてすっかり忘れて、1人ニマニマしながら作る僕はこの時超絶脳内お花畑だった・・・









次の日、いつもより早く現場入りして楽屋に手作りのお菓子を置いた。はじめは面と向かって渡そうと思ったけど、今の僕にはそんな勇気到底なかった。バレンタイン渡す女の子ってこんな気持ちだったのか・・・すっごくドキドキする。

適当にどこかに隠れといて、タッピョンが食べた後出てきて、ごめんね、って言おう。

そんな風に考えていると、ドアの向こうから足音が聞こえた。


(もう来たの・・・!?なんか早くない?!)

僕はあわてて近くのロッカーに隠れてしまった。

(しまった・・・!ロッカーから出てくるなんて不自然にも程があるよ・・・!)


「ふ〜!・・・あれっ?まだテソニヒョン来てないんすね!タッピョン残念でした〜」

「嘘でしょ!?・・・なんでテソナ今日に限っていないのぉ〜!!」

どうやらスンリとタッピョンが一緒に来たらしい。隙間から見えるタッピョンの表情からして、相当気にしてる様に見えた。

(うぅ・・・なんか胸が痛む)

こんなへんてこりんな作戦はやめて素直に謝ろう、そう思ってロッカーから出ようとした時だった。

「うわっ!なにこれマッズ!!タッピョン食べてみてよ!」

スンリの一言により僕は動けなくなった。

「ホントだ。すっごい固いし、味がない・・・」

タッピョンとスンリは僕の作ったお菓子を食べていた。

・・・やっぱり柄じゃないことするもんじゃないなぁ

僕は観念してロッカーから出ていき、不格好な生チョコとシフォンケーキが入ったタッパーをタッピョン達の目の前で片付けた。

するとなにかを察したのかタッピョンとスンリの顔はみるみる青くなっていった。

「テ、テソナ・・・もしかしてテソナが作ってくれたの?」

恐る恐る、といった様子でタッピョンはチラチラとこちらを見ながら僕に話しかけてきた。
うん、そうだよ。なんて返事したらタッピョンは急に慌てはじめて

「え、えっと、な、なんかぁ、生クリームを沢山いれたらチョコ柔らかくなるってヒョン聞いたことある!!」

なんてアドバイスをしてくれた。
スンリは横で真っ青になりながら、違うでしょ!!なんて小声(丸聞こえだけど)でタッピョンにツッコミを入れている。

なんだか僕はその時頭がよく動かなくて、うん。なんて適当な生返事をしながら2つの可哀想なお菓子が入ったタッパーを持ち、楽屋を出ていった
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ