KOOKV
□誘拐
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バン!!!
と音がして辺りが突然明るくなったと思ったら
次の瞬間には、僕は誰かの腕の中に居た。その直後にいつもの感覚に抱きしめられ見上げるとそこにはずっと待っていた大好きな人の顔。
「テヒョニヒョン!!」
『グガ…!怖かったよぉ』
抱きつきたいけど腕が動かない。
「守ってあげられなくてごめんなさい!役立たずで…こんな情けない彼氏でごめんなさい」
『僕がぼーっとしてたから悪いの。グガは何も悪くないよ。』
「本当にごめんなさい…!!取り返しがつかないのは分かってますけど」
『僕こそ、相手がグガじゃないのに……。最低だよね、こんな変態なんてもう嫌いだよね、グガ、僕のことなんて捨てちゃっていいから』
張り詰めていた糸が切れた。涙が止まらない。
「嫌いになんてなれません!大好きです!!愛してますヒョン。もう離さない、絶対誰にも触れさせませんから!」
【グクside】
あの後、すぐに駆けつけた警察と合流し、ナムジュニヒョンが探し当てた場所に向かうと一台の大きい車があった。警察がドアを開けると、そこには目が虚ろで服もはだけているヒョンと周りに群がる野郎共。ほんの気遣いで身体を毛布で包んでもらったヒョンが警察に支えられて車から出てきた。見るからに心身共に弱りきっているヒョンを抱きしめる。
俺を見上げるなり瞳に光が戻ってきて、子供みたいに泣き出した。見た感じだと男達は服を着ていたから挿入まではされてないようだけど、何か痛いことをされたのか。それより、誰よりも繊細なテヒョニヒョンについてしまった傷をどうやって癒せばいいんだろう。そして、男達はすぐに現行犯逮捕された。あの状況では強制性交等罪には値せずそれよりもはるかに軽い強制わいせつ罪として処罰せざるを得ないようだ。アイツらがやっていたことは立派な強姦未遂なんだから本当はあの場で気が済むまで殴りたかった。でも俺がやったら正当防衛も通用しない。また別件の暴力事件になってしまう。
俺は復讐すら出来なかった。
この後、俗に言う「お清め」をしたのはまた次の話で。