KOOKV

□誘拐
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【テテside】

事務所から出て帰路についた時だった。口元を覆われ少なくとも2人以上の男に車内に引きずり込まれた。動揺して声も出せず視界がぐわんと歪んだ。一瞬だった。

男A「やっと会えたね、テヒョンア」
男B「うわぁ、こんな綺麗な男居るんだな。やっぱ生で見るのは違うわ。」
男C「目デカいですね。瞳孔も開いてるし。そんなに怯えないでくださいよ。」

なんか色々言いながら顔を撫で回される。
車内には3人の男がいた。太った中年の人、眼鏡かけた中年の人、敬語口調の若い人。車の外は真っ暗で人気が全くない。この人達は僕のことは知っているみたいだけど、何が目的なのか見当がつかない。お金目当て?もしくはただのアンチなのかな?いや、それは流石にないか。ぐるぐると脳内を駆け巡る最悪のケース。

A「お返事してくれたっていいじゃん。俺だってテヒョンアのファンなんだから」

そう言ってズボンと下着を脱がされた。あとの2人は僕の後ろでガチャガチャと何かを準備している音がする。

『な、なにして…!やめてよ!』

A「やっと声出してくれた。その声本当に好きなんだぁ。あぁ早く枯れるまで啼かしてやりたい。」

この男たちが何をしようとしているか。ここにきてやっと察し、さーっと血の気が引いていくのが分かった。だが諦めるにはまだ早い。この人だって1人のファンなんだから大切にしないと。まずは落ち着いて交渉してみよう。

『僕のこと好きでいてくれるのはすごく嬉しいよ。ありがとう。でもこんなことしたって僕は貴方のものにはならないし、貴方の人生に傷がついてしまうと思う。ね?だから、やめよう』

A「何で俺のものにならないの?どうしたらなってくれる?」

『僕は誰のものでもないの。今なら何もなかったことにするからさ、その服返して?』

A「絶対嫌だ。辞めるわけないじゃん笑 ここまで来て怖気付いて辞める程、俺の愛は軽いもんじゃないから!まだ分からないなら優しくしてやらないよ。」

『ぼ、僕だってやだ!痛いのもやだけど、優しくされたって嫌なもんはやだ!グガがいい!グガじゃないとやだ!あんたのこと、まだちゃんと知らないけど、なんか、、もうきらい!あんたのこときらい!ごめんね!!僕もう帰る!やめて!!離してー!』

あーあ、アイドルどっか行っちゃった。
もうここにいるのは完全にいつもの5歳児。

C「やっぱこうなると思ってました。縛りますね」

もうダメだ。今度こそ諦めなきゃ。今日もグガと一緒に帰っていれば…なんて今更後悔する。あ!僕、携帯持ってるじゃん。あぁ縛られてるんだった。やっぱ終わった…。泣きそう。

すると聞きなれた着信音が聞こえてきた。見なくても分かる。グガが心配してかけてきてくれたんだ。

B「ふっ笑 お前の彼氏からだろ?出ていいよ。はい。」

スピーカーにして僕の前に置いてくれた。

『え、いいの?』

B「助け呼びたいなら呼べば?」

『グガぁ…助けて、おねがい!』

「え、どうしたんですか!?」

グガの声を聞いて思わず泣き出しそうになる。

『誘拐されちゃった…みたい』

「誘拐!?ヒョン!場所は分かりますか!?」

A「彼氏さん?笑 早く来れば?まぁ来たところで何も出来ないだろうけど、せめて自分の綺麗な恋人がキズモノになるところ見届けてあげなよ。」

「お前…ふざけんな!テヒョンアに指一本触れんじゃねぇぞ!!」

初めて聞いたそんな声。ドスの効いた声なんていう生易しいものじゃなくって骨の髄まで響いて、僕でさえ思わず縮み上がるような…。

C「あ、切れちゃいました。彼氏の前で犯してやるのもいいと思ったんですけど残念ですね。じゃ、俺たちと楽しいことしましょ。」
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