〇めいん〇

□小鬼と雷の子
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ー幸せが壊れる時には、いつも血の匂いがするー

俺が産まれた家は雪積もる奥山で母と妹と弟と暮らしていた。父は俺が産まれる前に死んだらしい。
ある日、俺たちは鬼に襲われた。

鬼が本当に存在しているなんて思わなかった。いつも作り話だと思っていた。なのに…俺は家族を守れなかった。

そして…俺は鬼になった。
理由は分からない…目が覚めた時には、俺は血だらけの家に1人…。

家族がいた…幸せだった記憶は断片的でしか覚えていない…。いや、もう覚えていない。

鬼は夜しか行動できない。太陽の光を浴びれば、死ぬ。太陽に当たると身が焼け何も残らない。まるで存在していなかったように…。

俺はあの日から空腹を満たすために山に入ってきた人間を襲った。次第に襲う数は増えた。
そして人間が山に入ってこなくなり、空腹でまともな判断が出来なくなって来た時だった。

腹が減った腹が減った腹が減った
腹が…

クンッ人間の匂い…

久々の人間の匂い。手負いだ。
空腹限界の近かった炭治郎は、山を駆け下りる。

ーーーーーー

山を下るほど匂いを濃く感じる。
ん?他にも匂う…鬼か…。

炭「チッ…」

炭治郎は舌打ちをして、駆け下りるスピードを上げた。

キーンと響く戦闘音。
横取りしたいが、空腹のせいでまともに戦えそうにない。
炭治郎は少し上の位置から下を見下ろした。
雷のような光が走り、ズバッと切れる音がした。俺は息を潜めた。

炭「……!」

真っ白い地面に鬼の首が落ち、吹き出した血が地面を染める。
人間が鬼を倒した…。そんな…人間が…。

それよりもなんて美しいなんだ…

炭治郎は目を離せなかった。
人間に鬼を倒せる術がある事、弱点を確実に突いてくる鬼の天敵…

太陽光を吸収したような金色の髪…
雷を纏う姿…
暗闇に光る金色の目…

炭「!」

やばい…目が合った…

逃げないと…俺もさっきの鬼みたいに首を…
目が会った瞬間、恐怖でその場から一目散ににげた。

炭治郎は猛スピードで降りた道を駆け登る。

ハァ…ハ…ハァ…息が…
でも…すごく…綺麗だった。

こんな感情初めてだ。
鬼になって1度も太陽の下に出れなくなったあの日以来、太陽を見たようなとても暖かい感覚。

目が合ったようだったが、追っては来ていない。
また…彼に会いたい…。ちょっと怖いけど…
ーーーーーー

今日もこの冷たい家で俺は…

炭「ああ、腹が減った…」

腹を空かした小鬼が1人住んでいる。
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