青い季節

□第8話
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優希side


『ということで店長申し訳ないんですけど当分の間休ませていただきます。』

「嫌や!優希が来んのならななもやめる!」

『だから七瀬、やめるんじゃなくて休業っていう形にするんだって何度も言ってるじゃん。』


見てのとおりここは俺たちがバイトをしているカフェ。
齋藤さ・・・おっと、飛鳥を預かることになったから大学はさすがに休めないにしてもバイト中飛鳥に何かあったら困るので店長にお願いして休業という形でしばらく休ませてもらうことにする予定だったのだが・・・


たまたま今日シフトが入っていてちょうどあがるところだった七瀬にその話を聞かれてしまい嫌だという七瀬をなだめている最中だった。


「私は優希さんが休むことに賛成です!」


七瀬同様今日シフトに入っている生田さんが助け舟をだしてくれたのでこの流れで七瀬を説得できないか考えようとすると


「そうすれば優希さんが練習に参加しやすくなりますからね!」


・・・この子に一瞬でも期待した俺が悪いんだ。


「だいたい優希そんな女の子家に預かってお金は大丈夫なん?なおさらバイト入らなあかんやん。」


俺を止めるいい理由を思いついたと言わんばかりに悪い笑顔を浮かべながら七瀬がこちらを伺ってくる。


『残念だけどお金に関しては俺、学費と家賃免除だしこれまでのバイトで貯めたお金も相当あるから困ってないんだよね。』

「う、で、でも!!」


切り札を失った七瀬は打って変わって追い詰められた表情を浮かべている。


『まあ休業といっても店がピンチの時は助けに来るしそんな大袈裟な話じゃないからさ。ここは納得してくれないか?』


俺は困った笑顔を浮かべて七瀬にお願いする。
七瀬は俺のこの顔に弱い、人一倍優しい性格な七瀬は俺にこの顔でお願いされたら断れないことを知ってる俺は最終手段に出た。


「うー・・・わかった。優希が戻ってくる時にはもっともっと料理も接客もうまくなってるから。」

『それは・・・楽しみにしてる。』

「じゃあなな先に帰るな!あと明日服買いに行く約束忘れたらあかんで!」


そういって七瀬は店を出ていった。
後ろ姿を見るにルンルン気分で小走り気味に帰っていったのでもう拗ねてはいないのだろう。


『じゃあ店長俺も帰ります。とりあえず七瀬のことよろしくお願いします。』


用の済んだので俺も帰ることにして店を出て少し歩いていると


「あ!優希じゃん。」


振り返ると以前俺が選んだコーディネートをそのまま着てる奈々未がいた。


「今帰るんだったら一緒に帰ろうよ。」

『そうだな。てかその服気に入ってくれてるんだな。』

「まぁね。今日はちょっと新しい服を選んでみようかなと思って買い物に行ってたんだけどどれが似合ってるか自分じゃわからなくて時間かかっちゃった。」

『奈々未はもっと自信持てよ。何着ても似合うくらい可愛いんだからさ。』

「・・・よくそういうこと恥ずかしげもなく言えるよね。」


最後はボソッとなにか言ってたけど聞き取れなかった。
それより奈々未に会えたのはちょうどいい。
お願いしたいことがあったんだ。


『そういえば奈々未って理系得意だよね?』

「何?嫌味?得意だけど理系の方が苦手って言ってる優希よりも点数取れてないけどね!」

『まだ根に持ってるのかよ。』

「うそうそ。別に根になんかもってないよ。理系は得意だけどどうしたの?」


こんな感じで奈々未が冗談も言ってくれるようになったことを嬉しく思う。


『実はさ・・・』


俺は飛鳥のことを奈々未に話して2人で一緒に飛鳥の勉強を見るのを手伝ってもらえないかとお願いする。


「うーん・・・私に出来るかな?そもそも私人と話すのそこまで得意じゃないし。」

『おれ今週教育実習の実習校に訪問しないといけないくてさ、今週の土曜日だけでもいいからお願いできないか?』

「・・・わかった。やってみる。優希からのお願いだしね。」

『さすが!助かる!』


これを機にふたりも仲良くなってくれるといいんだけど
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