夢追う君に、手を伸ばし T
□わたしにできること
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side 伍代美恵
13号先生と車内で会話した内容を思い返す。
優しいゆっくりな口調で話してくれて、説明はとてもわかりやすかったけど。
USJという先に出てしまった名前のインパクトが強すぎて、想像がなかなか形にならず、何回か質問をした。
『土砂ゾーンもデッサンにはいいですよ。入り口からも近く、高い位置に存在してるのであらゆるゾーンをひとまとめに見られます。』
『んーっと、想像しづらいんですけど、一つ一つのゾーンどうやって行き来するんですか?』
『脇にちゃんとした通路もありますよ、けれどまあ我々はいつも』
「っ。他の災害ゾーンを、横切る…それが、近道っ!」
ヒーロー科ほど、運動神経はよくない。
でも、このくらいのゾーンくらいは、かすり傷承知ならわたしでも通れる。
幸い周りには他の敵は見られず、(時々のびている敵はいたけれど)すいすいと進めた。
「SMASH!!!」
耳が捉えたのは切迫した声。
今の声、緑谷君?
方向へ向くとかなり先に拳を振り上げる彼の姿が見えた。
それを阻むのはどう見ても怪物。
あの怪物はその攻撃に全く効かないらしく、表情変えずにその場で突っ立っているだけだ。
「いい動きをするなあ…SMASHってオールマイトのフォロワーかい?」
ねっとりとしたような声が遠い距離にもかかわらずわたしの鼓膜を揺さぶった。
あいつだ。相澤先生の腕を壊した、手模型を顔にくっつける、気持ち悪い、敵の首。
心底楽しそうな声音は、顔は見えずとも表情は容易に想像できて最悪の気分だ。
吐きそうになりながら、ただひたすらに音を立てずにその近くへと走る。