★本編★

□操る者と視る者
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〜操る者と視る者〜




「15分たったわ、それじゃあいよいよ始めるわよ」

「さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!」

「……なかなか面白れぇ組が揃ったな」

「さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙をあげる!!」


虎白は騎馬の上できゅっとハチマキを結んだ
先頭の心操はチラっと虎白を見るとニタっと笑った


「準備いい?虎白」

『OK、ひとしくん!まかせてっ』


虎白はふうっと息を吐きだすと
カッっと目を見開き
ある一つの騎馬を凝視した


「START!」


始まりの合図が告げられれば
皆が一斉に緑谷チームの騎馬に突撃しに行った
その中虎白チームは静かにその場で佇み
にこりと笑う


「すごいな、同じポイント持ってるのに誰一人としてこない……」

『気配をけすっていうか……ちがうひとに集中させてるんだ、ちかよるなオーラだしとけば、ちかよってこない』

「そういうもん?」

『ライオンだからね』

「そっか、ライオンだからか」

『うん、でも、このまんまじゃつまんないから、さいごはね?』

「OK、まかせて」


虎白も心操も周りの騎馬の様子を眺めつつ
しっかりと一つ一つの騎馬の確認をした
虎白はぴこぴこと耳を動かし全体の音を聞く


『ひとしくん、ちかばに、きば……二つ、そろそろ動こう!とるからには、ぜったい一位!』

「了解、しっかり捕まってて」


虎白は心操の髪を痛くない程度にきゅっと握ると心操に騎馬の位置の指示を出した
近づいた騎馬に心操は個性をかけその間に虎白がポイントをとった


「ナイス、虎白」

『ひとしくんも、個性かけるたいみんぐバッチリ!!』

「タイムアップまであと数分しかないけど、もちろん狙うよね?」


ニタリと笑いながら心操は轟や緑谷を見いやった
心操の心底悪そうな笑顔に虎白も同じようにニタリと笑って答えた


『もちろん!』


虎白の言葉に心操は走りだした
狙うは現在一位の轟のハチマキだ
爆豪やポイントを取られてしまった緑谷も轟に向かって走り出す


「(虎白の個性が効いてるうちに!)」


爆豪が自分の騎馬から飛び出し
緑谷は轟のハチマキに手を伸ばす
心操は必死に走り
虎白は小さな腕を思いっきり伸ばした


「TIME UP!!」


しかしその手が誰一人届くわけもなく
タイムアップのアナウンスが響いた


「(ギリギリ一位は無理だったのか……)」


地面に軽く目線を落とす心操に虎白は彼の頭をぱしぱしと叩く
なんだと騎馬を崩し虎白を下ろしてやれば彼の左手には見慣れぬハチマキがあった


『いったでしょ?とるからには絶対、1位!!ひとしくん、集中してた間にとっといた!』

「……まじか、まじかぁ……虎白、やっぱりすごいや」

『へへっ』


マイクのアナウンスで順位が発表された

一位、王羽チーム
二位、轟チーム
三位、爆豪チーム
四位、緑谷チーム


「以上4組が最終種目へ進出だァ!!!!1時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ!!じゃあな!」


騎馬戦が終わり昼休憩となった
虎白は軽く伸びをすれば放送室へと歩き出す


「虎白……!」

『……??』

「虎白、俺、負けないから」

『……!ぼくも、まけないよ、ひとしくん決勝であおう!』


お互い真剣なまなざしを交わし
最後に二人でニタリと笑えば
虎白は放送室へ
心操は普通科のメンバーの所へと戻っていった
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