★本編★
□待ち望んだ子
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〜待ち望んだ子〜
「群がれマスメディア!今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春暴れ馬……雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!!??」
USJ事件からはや二週間、
個々が準備に励んだ
本日はそのBIGイベント雄英高校体育祭の本番日であった
クラス控室に向かう前に虎白は相澤と話していた。
「いいか、虎白、出るからには全力を出し切ってこい」
『しょーた、ぼく、かつよ』
相澤の目に映る虎白の表情はいつもの甘えん坊な虎白の表情ではなかった。
獲物を狙うような獣の表情をしていた
そんな虎白の頭を包帯のしていない方の手でぐしゃっと撫でれば、ぽんっと背中を押してやった。
「さ、はやく控室行ってこい、あいつら心配するぞ」
『うん、いってきますしょーた』
「行ってこい虎白」
気合い入れの為に軽く背中をポンッとたたいてやって、タタっと走っていく小さな背中を見送りながら、相澤も仕事するべく放送室へと足を速めた。
★ ★ ★
「僕も本気で獲りに行く!!」
控室に飛び込んだ虎白の耳に緑谷の声が入ってきた。
皆が急に開いたドアの方へ向き、虎白はクラスメイトに瞬時に囲まれてしまった。
「虎白!どこ行ってたんだよー」
「王羽君!時間ギリギリだぞ!もうじき入場だ!」
『わわ、ごめん……しょ、……せんせいと話しててっ』
皆に話しかけられワタワタと慌てる、
そんな虎白の目の前に爆豪がすっと出てくると虎白の事を見下ろすように見つめた。
「おい」
『かつき君……?』
「お前には、負けねぇからな」
『……ぼくも、まけないよ』
「フンっ……」
それだけ言えば爆豪は控室を出て行ってしまった、
そして入場のため皆も控室を出てゲートに向かい、そっと虎白は目を閉じる
『(みててね、ぱぱ、まま)』
マイクのアナウンスが聞こえ始めゆっくりと目を開ければ
クラスメイトに続きゆっくりとゲートをくぐった
★ ★ ★
「雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはシノギを削る年に一度の大バトル!どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!?」
大歓声の中マイクの声が響き渡る
凄い数の人たちがこの雄英高校体育祭を見に来ていた
「敵の襲撃を受けたのにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた新星!!!ヒーロー科1年A組だろぉおお!!!」
1年が全員入場し終え
選手宣誓の儀にはいる、1年の主審は今年ミッドナイトが務めるようだ
「18禁なのに高校にいてもいいものか?」
『……じゅ、じゅうはっき……?』
「王羽は知らなくてもいい……」
『めぞー君……』
「そこ!静かにしなさい!選手代表!!」
小さな会話は意外にもミッドナイトに聞こえていたようで注意された
静かになった3人を見ればミッドナイトは言葉をつづけた。
「1−A爆豪勝己!!」
名前を呼ばれた爆轟は両手をポケットに突っ込みながら
ミッドナイトの前へと歩いて行った
「え〜〜〜かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試1位通過だったからな」
「ヒーロー科の入試な」
瀬呂の言葉に普通科の生徒が軽く突っかかった
爆豪がミッドナイトを見据え選手宣誓をはじめた
「せんせー、俺が1位になる」
爆豪の言葉に生徒たちがブーイングを始めた
余りのうるささに耳の良い虎白は眉を寄せるが
しっかりと爆豪を見つめていた