★本編★

□今僕がやるべきこと
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〜今僕がやるべきこと〜




目が覚めたらそこは病院だった。
夢の内容もUSJのことも
過去のあの出来事のことも虎白は覚えていた
ゆっくりとベッドから身体を起こして換気のために開けられていた窓の外を見つめた
自然とぼろぼろと涙が堰を切ってあふれ出した。


『っ……ふっ……う……ぅ』


消太は何をしてるだろう無事なのか
クラスメイトのみんなは無事なのか
一刻も早く確かめたかった。
あふれ出る涙を腕でぐいっと拭うと虎白は窓から飛び出していった。


★ ★ ★


USJ事件の翌日雄英高校は臨時休校となった
その次の日、虎白以外を除く1‐Aの生徒たちは無事登校していた。


「皆ーー!!朝のHRが始まる席につけーー!!」

「ついてるよ、ついてねーのおめーだけだ」


その瞬間スッと相澤が教室に入ってきた
顔と片腕を怪我しているようで包帯を巻きつけている、
少しよろよろと歩いているものの比較的元気そうであった。


「お早う」

「「「「「相澤先生復帰早ええぇええ!!!!」」」」」

「先生無事だったのですね!!」

「無事言うんかなアレ……」

「俺の安否はどうでもいい何よりまだ、戦いは終わってねぇ」

「「「「「!?」」」」」


相澤の言葉により教室中が凍り付いた
敵がまだ残っているのか、
生徒たちそれぞれがいろいろな反応をする。


「雄英体育祭が迫っている!!」

「「「「「クソ学校っぽいのきたぁああ!!!」」」」」


騒ぎ立てる生徒たちを無視して
相澤は体育祭について説明をしていく
それでも不安な声が教室内から飛んだ。


「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい、警備は例年の五倍に強化するそうだ、何より雄英の体育祭は……最大のチャンス、敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」

「いやそこは中止しよう?」

「峰田君……雄英体育祭見たことないの!?」

「あるにきまってんだろ、そういうことじゃなくてよー……」


雄英体育祭はオリンピックに代わるほどのものだと説明をする
ヒーローになるための重要なイベントなのだ


「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる、時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が開ける訳だ、年に一回……計三回だけのチャンス、ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ!」



以上と話を終えた相澤はHRを終わりにし教室を出て行こうとする。
しかし生徒たちには一番気になっていたことがあった
聞いていいものかと誰も声をかけなかったが
蛙吹が小さく手をあげて相澤を引き留めた。


「相澤先生、虎白君は……?無事なのかしら……?」

「それ、俺たちも気になってたんだ!」

「俺たちケガしてたけど、なんか獣の咆哮、聞いて怪我治っちまったんだ!なぁ?八百万、耳郎!あの声は絶対虎白だって!」

「ええ、先生あれは、王羽君の力なのですか?」

「先生が飛び出していったとき、虎白君、相澤先生の名前叫んでた、二人はどんな関係なんですか!」


蛙吹の言葉を聞いた生徒たちはそれぞれ言葉を発する
立ち止まった相澤は小さくため息を吐くと教卓へと戻ってきた。


「……王羽、いや虎白は分けあって今俺と住んでる、命に別状はないが、まだ目は覚ましてないよ、お前たちの怪我が治った現象は、間違いなく虎白の力だ、俺の怪我がこんなので済んでいるのもあいつのおかげだ」

「(虎白君のあの動き、あのヒーロー達にそっくりだ……)」


相澤の言葉にUSJでの虎白の動きを思い出す緑谷
いつものようにブツブツと一人の世界に入っていく。
すると突然、教室のドアが思いっきり開いたかと思うと白い塊が相澤めがけて飛び掛かった。
生徒たちは何事かと椅子を立つもの構える者それぞれであった
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