★本編★

□全てを守る力
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〜すべてを守る力〜




奥底に落ちて行った意識を何とか浮上させる
必死だった、助けなくちゃいけないと動かないはずの身体が勝手に動いていた
けど小さな力では大切な人さえ守れない
もっと、もっと力が欲しい。

“大切な人を守るための力が”

そう思った、右手に“個性”を発動させてから
僕の意識はフワフワとどこか違うところにいるような感覚に陥る。
脳無の腕を切り落とし、ついでに身体を吹き飛ばす。
相澤から脳無が離れたのを確認すると
相澤の周りに小さな膜を張った。


「っ……、こ、はくっ……よせっ……!」


痛みに耐えるようにこちらを向く相澤をちらっと見ると、
再生されこちらに向かってくる脳無に向き合った。


『(……しょーたは、ぼくが、まもるっ)』


小さな白いライオンは何度も地面に叩きつけられてもなお立ち上がり、
先程のようにピクリとも動けなくなってしまった。
それでもなお意識を失わないように小さな呼吸を繰り返した、
動かなくなった虎白に興味をなくしたように、脳無がまた標的を相澤に代え飛び掛かっていったが虎白の張った膜で弾かれ、ゴロゴロと転がった。


『しょ……う、……た』

「やめ、ろっ…こはくっ!それ、いじょう……!その、力はっ、……つかうな!」


虎白の個性を抹消しようとする相澤に
虎白は小さく唸ると渾身の力を振り絞って“咆哮”を上げた。


『ガァルルルァアア!!!』


その瞬間USJ内のほとんどの窓ガラスが音を立てて砕け散った。
雑魚敵は虎白の咆哮で吹き飛んでいき、
USJ内に散ってしまっていた生徒たちの小さな怪我がみるみる治っていった。
膜が張られていた相澤も折れた腕こそ直りはしなかったが、
切り傷等は一瞬にして消え去った。


「死柄木弔」

「黒霧、13号はやったのか」


虎白の咆哮によりその場から少し動かされたものの飛ばされなかった死柄木の元に
黒い靄が広がり、靄が収まるとそこには黒霧が佇んでいた。


「行動不能には出来たものの散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」

「黒霧おまえ……おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ……さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない、ゲームオーバーだあーあ……今回はゲームオーバーだ」


首元を掻きむしっていた死柄木はぴたりと手の動きを止めて虎白を見つめた。
虎白はうつろな目を向け動かない体を少しでも動かそうと力をいれ唸り続けていた。


「帰る……?カエルっつたのか今??」

「そう聞こえたわ」


ぴくりと虎白の耳が動く、近くに峰田や緑谷、蛙吹がいて、
彼らの言葉が聞こえていた。
急に虎白の瞳孔が開き“視えた”のだ
蛙吹の顔が死柄木の個性によって先程の相澤のようにボロボロに崩れるのを


『っ!!?(っ……うごけ、ないって……なってるばあいじゃ、ないんだぁ!!うごけ、うごけぇ!!)』


虎白が大きな咆哮をあげたと同時に虎白の身体に小さな羽が生えた
それと同時に死柄木が飛び出すのはほぼ同時であった


『つゆ……ちゃん!!!!』


小さな羽で瞬時に蛙吹の元へと飛んでいき蛙吹を吹き飛ばし、蛙水の顔と死柄木の手の間に割り込んだ。
虎白は死柄木に首元を掴まれるが個性は発動されなかった、
相澤が“個性”を発動させていたのだ。


「本っ当にカッコいいぜイレイザーヘッド」

『っ!!!しょーたぁああ!!!』


相澤の個性発動により見られていた虎白の個性も解除された、
そのせいで虎白が張っていた膜も解除されてしまい
虎白が飛んでいく前に相澤は脳無によって地面に叩きつけられ気を失ってしまった


『うぅ……う、うぁあああああ!!!!!』


USJ内、いや雄英高校の敷地内全体に虎白のつんざくような咆哮が響き渡りその後、力を使いすぎてしまった虎白はぱたりと気を失ってしまった。
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