★本編★
□守りたい大切なもの
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『っ……!!しょーたぁあ!!』
虎白が飛ばされたのは相澤が大勢の敵と交戦している広場であった、
空中に開いたワープゲートから落っこちるようにして現れた虎白に相澤は目を見開く。
「……!?お前、何でここに!?」
個性を使ってシュタっときれいに着地した虎白の目の前にいたのは、手をたくさん付けた敵だった。
目の前に現れた虎白を見て彼は嬉しそうに、にたりと笑う。
『!?』
瞬時にサッと距離をとった虎白に
ますます笑う男
「そっくりだ……先生が言ってた白星の王に……!ちっちゃいなぁ……かわいいなぁ……こんなか弱そうなのに、すごい力を秘めてるなんて……!」
『……おまえ、だれだっ!白星の王とか……王子とか……なんだ!!』
「やっぱり眠ってたのも本当だったんだ……俺は死柄木弔、なぁこっちに来いよ“虎白”」
虎白の全身にぞわりと嫌な感覚が伝う
無意識に唸り声を上げギリっと相手をにらみつける
『いかないっ!!』
「っははは!!!そっかぁ……そっか、残念だなぁ!!」
『っ!?』
急にグイっとなにかに引っ張られた。
気づいた時にはいつの間にか相澤の腕の中に納まっていて、
自分を引っ張ったのが捕縛武器だと理解するのには時間がかからなかった。
相澤はすぐさま虎白を地面に下ろして守るように前に立った、
こちらに向かって走ってくる死柄木にむかい打つように相澤が飛びだす。
『(23びょう……?)』
死柄木の声は虎白には届いていた
いったいどうゆうことなのか一瞬首をかしげる
「動き回るので分かりずらいけど、髪が下がる瞬間がある、一アクション終えるごとだ、そしてその感覚は段々短くなってる、無理をするなよイレイザーヘッド」
「―――っ!!」
死柄木が相澤の攻撃を受け止めており
死柄木の手に触れている相澤の肘がボロボロと崩れたのだ。
『っ!!!?しょーたぁああ!!!!』
それを見た虎白は全身の毛を逆立てるように威嚇をし相澤の元へと走りだした。
相澤はすぐさま死柄木から距離を取り襲ってきた敵をも蹴散らして距離を置いた。
「来るな!!」
「その“個性”じゃ……集団との長期決戦は向いてなくないか?普段の仕事と勝手が違うんじゃないか?」
『っ!!!!』
死柄木の言葉が嫌でも耳に入ってくる
それに加え、虎白にはすでに“見えて”いた
脳みそがむき出しの真っ黒い怪人が相澤に忍び寄っているのを
「ところでヒーロー本命は俺じゃない」
「っ!?」
相澤が怪人に腕をつかまれそうになった瞬間小さな白いライオンが飛び出した。
怪人に飛びつき、その腕に噛み付くも、すぐさまライオンは悲鳴を上げた。
小さな前足は無残にもボキリと大きな音を立てて、脳みそむき出しの巨漢によって折られてしまった。
『っぁあああ!!!』
「……!?虎白!!!!!」
怪人によって地面に叩きつけられた小さな白いライオンはピクリとも動かなかった。
焦る相澤に容赦なく怪人が襲い掛かり先程同様簡単に相澤の腕をへし折った。
「対平和の象徴怪人“脳無”」
★ ★ ★
身体中が痛い
力を入れたくてもピクリとも動いてくれない
―また失ってしまう
また?
いったい誰を?
そう“大切”な人を…―
『しょ、…た』
個性を発現させようと右手に意識を送ってみる
ぽわっと右手に光が宿ったかと思うと、
虎白の意識はスッと落ちて行った。
END