★本編★

□ヒーロー科1年A組
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職員室に着いた虎白は特にノックするわけでもなくガラリと扉を開く。
すると数人の先生が扉の方をハッとしたように見た
たまたま近くにいたミッドナイトは虎白の近くまでくれば目線を合わせるように軽くしゃがみ
虎白のおでこを軽くこつんとつついた。


「こら、虎白君、職員室に入る時はノックしないと」

『あ……ごめんなさい』

「次から気を付けてね?で、誰に用事?」

『えと、しょー……せんせい!!!』


消太と言いかけた虎白だったが朝言われたように
途中で先生と言い直した
しかし肝心な名字を言わずに先生とだけ叫ぶ


「相澤君ならあそこよ」


しかしミッドナイトは虎白が言いたい人物を理解したようで、
自分のディスクの椅子に座りこちらのやり取りを見ていた相澤の方を指さした
相澤を見つけた虎白は途端にぱぁっと明るくなって相澤の元へと駆け出した
虎白が抱き着いてくるのを難なく受け止めた相澤はしっかりと膝の上に虎白を乗せた。


「飯、食うか」

『うんっ!まいくもー』

「だから先生な」


近くにいたマイクも誘い三人で昼食をとることにした、
相澤は変わらずゼリー飲料を虎白はマイクが買ってきていたサンドイッチをもらった。
貰った物をもしゃもしゃと食べながら話しかけてくるマイクに相槌をうつ。


「どうだー?クラス慣れたか??友達出来たか??」

『うん!えっとねー、いずくくんと、えいじろうくんと、でんきくんと、てんやくんと、おちゃこちゃん!名前、おぼえたよ!』

「そっかそっかーえらいぜーー!!」


わしゃわしゃと虎白の髪を撫でまわす
虎白は一瞬驚くものの嬉しそうにそのまま撫でられ続けている
ふいに虎白の頭にぴこっとライオンの耳が生え動きが固まった


「うぉ!?どうした!?」

『……なんか、壊れた』

「……壊れた?」


マイクは撫でる手を止め
相澤は何が壊れたのかと聞き返そうとした矢先
学園中に警報が鳴り響いた
虎白は驚いて縋るようにマイクに抱き着き両耳を塞ぐ
虎白を安心させるようにしっかりと抱きしめてやりながらマイクは外を見た


「イレイザー!!」

「チッ……行くぞマイク、ミッドナイトさん虎白頼みます」

「わかったわ」


マイクから虎白を預かるミッドナイト
不安そうな虎白の頭をくしゃっと一回撫でれば二人は急いで外へと出っていった


★ ★ ★


その後、無事警察が到着しマスコミは撤退
改めて別の委員決めを行うこととなった
お昼の時に何があったのか、緑谷の推薦により飯田が委員長を務めることとなった。


「……お前、そういやなんで委員長に立候補しなかったんだ?」

『えと……、なまえ……?』

「わりぃ……轟焦凍だ」

『しょうと君……うん、おぼえた!えっとね、たしかに、ヒーローになるなら、やっといたほうがいいと思う、けど…ボクはまだ来たばっかりでみんなのことしらないし、みんなもぼくのこと、知らないと思う、それにひょうか?っていうのかな、それをとるんだったら、みんなのこと知る方がいい』


急に斜め後ろを振り返って聞いてきた轟にそんな返事を出す
轟は一瞬ぽかんとした表情を虎白に見せた


『……?』

「……変わってんな、お前」

『そうかなぁ?でも、しょうと君も上げてなかったよ?なんで?』

「……別に興味ない」

『ふふ……そっかぁー』

「……なぁ、お前と俺どこかで会ったことねぇか?」

『……うーん?はじめましてだよ?』

「……そうか、悪い変なこと聞いて」

『きにしてないよっ!これからよろしくね、しょうと君』

「……あぁ(やっぱりどっかで会った気がする)」


無事時間内にほかの委員会等を決めることができ
授業終了とともに帰りのHRをはじめ今日の授業は終了となった
相澤は教室を出る際に虎白に職員室に来るようにと一声かけた
先生がいなくなった教室には改めて時間がなく話せなかった生徒たちが虎白のところへ押しかけて自己紹介という名のお喋り会を始めたのは言うまでもなかった




END


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