★本編★

□創造力と感覚力
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〜創造力と感覚力〜




最終試合の対戦相手が発表された
虎白は第六試合で
対戦相手は八百万だった


『……ももちゃんか、たしか個性は創造……だっけ、たのしみだァ!』


ピコんとライオンの耳を立たせ
牙を出してニヤッと笑う虎白
その瞳は凄く楽しそうだ


「……おい」

『あ、かつき』

「……次は負けねぇから、お前も負けんじゃねぇぞ!!」


不機嫌そうに唇を尖らせ叫ぶように言い放つ爆豪
そんな爆豪に虎白はぽかんと口を開けるが
すぐさま先程以上にニヤッと笑うと爆豪の瞳を見つめた


『もちろん、こんどこそ、本気のしょうぶ、』


そんな虎白の返事に満足したのか
ふんっと鼻をならすと爆豪はスタスタと控室へと戻っていった
虎白は客席で試合を見ようと客席へと足を進めたのであった


「あら、虎白ちゃん来たのね、もう始まっちゃってるわよ」

『え!わー、ほんとだ!となりすわっていー?つゆちゃん!』

「ええ、もちろんよ」


虎白は蛙吹の隣にストンと腰を下ろすと
試合会場を見つめた
そこには向き合っている緑谷と心操の姿があった


『……いずくくんと……ひとしくん』


先程まで騒いでた虎白は急に静かになり
じっと二人の試合を見つめた
クラスメイトの緑谷も今日仲良くなった心操にも負けてほしくないなと思いつつも虎白は冷静に判断した


『(ひとしくんの個性はすっごい……けど、パワー型のいずくくんには、今はまだ勝てないよ)』


場外に出そうだった緑谷が踏みとどまり
心操は緑谷に言葉を投げかけ続ける
しかし個性をわかっている緑谷は答えることなく心操を場外へと叩きだした
お互い挨拶をし心操は出口へと向かって歩き出した


「かっこよかったぞ!心操!」

「正直ビビったよ!」

「俺ら普通科の星だな!」

「障害物競走一位のやつといい勝負してんじゃねーよ!」


離れたところに座っている虎白の耳にもその言葉は届いていた
そして、プロヒーローたちが彼を評価する言葉も耳に入ってくる


「結果によっちゃヒーロー科編入も検討してもらえる、今回はダメだったとしても……絶対にあきらめない」


その言葉を聞き虎白は胸が高鳴るのを感じた


「ヒーロー科入って資格取得して……絶対お前らより立派なヒーローになってやる!」


虎白は勢い良く立ち上がるとピョンっと軽い動作で観客席の手すりに飛び乗った
急に立ち上がり飛び乗ったことでクラスメイトは驚いていたがお構いなしだ
すぅっと息を吸い込み虎白は思いっきり叫んだ


『ひとしくーーん!!ぼく、まってるから!!かならずだよ!』


「虎白……ああ、必ず……!」


お互いにニヤッと笑えば心操は退場していった
ぴょんっと手すりから降りれば軽くふぅっと息をはきだした


『ひかえしつ、いかなきゃ!』


くるりと会場から背中を向け
虎白は控室へと駆け出して行った
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