神をも狂わすもの
□8. 狂わされる
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抵抗をやめると、エネルの腕の力は弱まる。
私はもう何もせずに、涙を拭って寝たままエネルを見つめるとエネルは私に覆いかぶさってくる。
「...俺はビルカを滅ぼしたことは悪いと思っていない...だが、そうすることによってお前が手に入るとは間違いだったようだな」
エネルは私の頬から首筋を撫でる。エネルは声も悲しげで、私はどうしたことかと困ってしまう。こんなに弱々しいエネルを見たことがない。
エネルをこうしたのは私...エネルは私が好き。
「俺は...お前を心底好きになってしまった...こんなに誰かを好くなど...不思議だ...恋に狂わされるなど神としてあっていいことなのか」
俯くエネルの頬を私は包んだ。そして、私は告げた。
「エネル...私は何をしてもエネルに勝てないことがわかった...ビルカを滅ぼしたことを今怨んでも何も戻らない...そうでしょ...エネルを殺したくて消したくて堪らないのに」
私は涙を流した。
エネルを殺したいのに...殺しても何も戻っては来ない。
むしろ...今、エネルがいなくなったら私は...私は本当に独りになってしまう。
どこにもやり場のないこの気持ち...私は一体どうしたらいいんだろう。
いつの間にかエネルの顔は近づいていて、唇が触れ合った。
舌は私の唇の間を開けと促すようになぞり、私がそれに応じればすぐに舌は侵入した。
「んぁ...」
今日のキスは激しくも、一段と優しかった。
エネルはキスをしたまま、私の体に優しく触れる。まるで壊れ物でも触っているかのように...唇が離れると、エネルは私の服を脱がす。
今日は何も抵抗する気が起きなかった。
エネルをわかってやろうと...少しそう思えたから。
上の服を取られると、隠す間もなくエネルは私の片方の胸を揉みしだき始め、もう片方は突起を愛撫する。
「エネル...ひゃぁ...ぁあ...」
いつもよりゆっくり与えられる刺激に、私は焦らされているような感覚になりむしろエネルを求めた。
「ねぇ...っ...エネル...」
エネルを呼ぶと珍しいなとでも言うような顔で見つめてはすぐに愛撫をやめ、私の顔の方へ来る。
私は少し体を起こしてエネルの唇を奪った。
いつもはエネルからしてくるのに...私は何故か自分からしたいと思った。
自分からエネルの舌に舌を絡めた。私の体はだんだん起き上がり、終いにはエネルを押し倒す。
「やけに積極的だな...どうしたんだ」
「わからない...わからなくて困ってる」
いつもされるようにエネルの首に舌を這わせる。
自分でも何故こんなことをしているのかわからない。だけど...エネルに対しての気持ちが少し変わったのは確かだった。
「俺を嫌っているんじゃあ...ないのか?」
私は気にせず愛撫を続け、エネルの足の間に足を入れ、膝を上に上げて股を刺激した。
今は何も答えられないから...
ただ、私の与える快感に溺れてしまえばいい...
未だ気が付かない何かに私は狂わされ始めた。