神をも狂わすもの
□7. 心を蝕む何か
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____シャリ...シャリ...
転がる林檎の芯は増えていく。
「随分と俺の林檎を食ってくれたな」
「遅いエネル!!どこ行ってたの!!」
私はドアの前に立つエネルに駆け寄った。
「どうしたんだキルラ、待っていたのか?」
「え、いや...そんなんじゃない」
確かに、こんな発言をしたら待っていたみたいじゃない...!!
何やってるの私...
私がエネルから離れようとすると、エネルは腕を掴んだ。
「可愛がって欲しかったんじゃないのか?」
「そんなこと思ってない!!///」
私はエネルの手を振り払い、距離を置いた。
「そう離れるな」
「だって...」
エネルは私に歩み寄る。私は退くがすぐに背中が壁に当たってしまった。私は壁に追い込まれ、エネルから逃げられなくなる。
エネルは私の手から食べかけの林檎を取ると一口かじった。
私の...食べかけ...
エネルは私に見せ付けるように私のかじった林檎を舐める。
何この感じ...
「エネル...やめて...」
「こうやって舐められたいんじゃないのか?」
「ち、ちが...っ」
なんてこと言うのよ...!!でも、どうして...はっきり否定の言葉を言えない。
「ひゃぁっ!!」
エネルは私の首に触れると、顔を近づけ首筋に沿って舐め始めた。
「やはり抵抗しない...されたかったのだろう?」
私は何も答えられなかった。エネルは意地悪だ...
心臓がうるさい。
「エネルっ...ゃぁんっ...」
私は堪えたがやっぱり声が出てしまう...
足の力が抜け、エネルの方に倒れると私を抱きしめた。
...何だか...嫌じゃない...
どうして...?
エネルは私の頭を優しく撫でる。私は何も抵抗しなかった。
「ねぇ...どうしてそんなに優しくされなきゃならないの?私は...あんたを殺したいのに」
「キルラが好きだからに決まっているだろう」
...どうして心臓がうるさいの。ただ、エネルは私を好きって言っただけじゃない...!!
「顔が赤いぞ」
「えっ、そんなことっ!!」
エネルは嬉しそうに私の頬を撫でた。
本当はわかってる。顔が赤いこと...こんなに体が熱いんだもの...
私の頬を撫でていたエネルの手は私の唇に触れる。
「ぁ...エネル...」
「して欲しいんじゃあないのか?」
「そんな...こと....っ」
やっぱりダメだ...
私は狂ってしまったの?
エネルの言葉に行動にはっきり反抗できなくなっている。
少しずつわかりはじめた。私の心を蝕んでいく何かを...
エネルの色に染められる前に消さなきゃ。
エネルと舌を絡めながら私はそう誓った。