神をも狂わすもの
□3. 月女神の復活
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私が空を飛ぼうと翼を広げると、何かに捕まれ地面に叩きつけられた。
「ぐはっ...!!...誰よっ...」
「ヤハハハハハ!!」
私は目を見開いた。この声...この笑い方は...!!
「...エネル...っ!!!!!お前ぇ...!!!」
「6年ぶりだな...キルラ」
「...6年...?」
私はエネルの言っていることがわからなかった。
昨日ビルカを滅ぼしたのはあんたじゃない!!
「意味わらない!!昨日ビルカを滅ぼしたくせに!!」
私がそう言うとエネルは首を傾げ、何かがわかったのか元の顔に戻った。
「やはりお前は神だな!!...ならば教えてやろう、お前が死んだあの日を」
「は?何を言っている...!?」
私が...死んだ?私はただ眠っていただけよ...
エネルは私に近づいてくる。話を聞いたら...殺す。
目の前まで来ると、エネルは私の耳元で囁いた。
「その前に再会のキスでもしようか」
「はっ?!嫌よっ」
離れようとすると腕を掴まれた。腕が使えないなら!!私が攻撃を発動しようと月を見上げるととエネルは言った。
「俺に攻撃をしたらお前の翼をもう一つ消してやろう」
「......っ」
それは本当に困る。私は悔しくて仕方なかったが攻撃をやめた。
まぁ、エネルを見つけたんだ...殺す機会ならきっとすぐに...!!
私がエネルを睨むと、エネルは私の顎に手を添えた。
あぁ...またこいつに...私は目を瞑った。
「んっ......んぁっ...」
やだ...変な感じがする...昨日したはずなのに...。
何だか昨日よりも...っ...力が抜ける...
唇が離れると私の足の力は完全に抜け、しゃがみこみそうになったがエネルは私を抱えた。
「6年ぶりのキスだな」
「だから...昨日したじゃない...の...」
もう喋る力も...キスってこんなにも...。
ぼーっとする私を他所に、エネルは話し始めた。
「俺はお前を本当に神だと認めた。だが、俺がお前を上に見たわけではない...お前は6年前のあの日、俺が去った後に死んだんだ」
「どうしてよ...!!私死んでなんか!!」
私はエネルの言うことがよくわからないし、抱かれているのが嫌だったため無理やり離れた。
「俺は今日この日までお前のいない6年間を過ごしていた。そしてお前にはわからないはずだ...ここ、スカイピアは今俺の支配下にある、俺は神なのだ」
「...そんな...じゃあ私はどうして」
「復活したのだ...月の女神」
これは...本当に事実だと言うの...?私は一度エネルに殺され、復活した?でも確かに、私の知っているスカイピアはエネルのものじゃあ無い。
さっきの女、エネルという名に怯えていた。こいつ、私のいない6年間スカイピアで何を...!!
私はエネルを睨んだ。殺したくてたまらない!!!
ビルカを滅ぼした挙句、スカイピアまで...!!
私は月を見上げると同時に手を振りあげ波動を出した。それは地面をも抉る威力。月の力だ。
しかし、当たりはしたがエネルは雷になって効果がない...。
まさか夜でも私の力はこいつには勝てないのか...?
「お前は俺には勝てないのだ、ヤハハハハハ!!!」
「何で、どうしてよ!!私は神よ!!お前なんか裁いてやる!!」
「お前は神だが、俺よりは格下だ!!知るがいい、"神の裁き(エルトール)"!!」
「はっ...!!あ"ア゙アぁぁぁッ!!!!!」
私の真下に落ちて来る雷、私は避けたと思ったが範囲が広くぶち当たってしまった。
「うっ...許さない...エネルっ...!!」
私は体が痺れ、立ち上がることすらできなかった。雷雲によって上手く月を隠され治癒することすらできない。
「わかったかキルラ...お前は俺には勝てないのだ」
エネルは私に近づいてくる。私は退こうとするがやはり体が言うことを聞かない。
エネルは痺れた私の体を抱き上げた。
「触るなっ...うぅっ...痛いのっ...!!」
「お前にはわからんようだな...まぁいい、行くぞ」
「何がよ!...どこに...行くのよっ...」
エネルは私を抱きかかえ、空を飛んだ。
私は結局、あの日ビルカと共に姿を抹消されたらしい。
そして空白の6年、エネルはその間にスカイピアを支配して、くだらない理由から私の復活を待っていたのだった...