神をも狂わすもの
□1. 崩壊の日
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「ヤハハハハ!!我が神なり...」
自分の落ちた片翼を見つめる。
黒く焦げ、散らかる羽...
痺れの引かない体はもう言うことを聞いてくれない。
「お前っ...この私に何をしやがる!!」
「口を慎め...」
____ガシッ!!
「ぐあ”ぁっ!!!離..せっ...」
首を捕まれ足が浮いた。
こいつ...神の私に...!!
「ほら見ろ、これが俺達の故郷ビルカだ」
「お前はっ...何を考えている!!死んでしまえ!!」
私は懸命にもがいたが、男の力にはかなわなかった。
地面に叩きつけられ、骨が軋む。こんなに戦うはめになったのは人生で初めてだった。
何故、ビルカを...滅ぼしたの...
無惨な姿になったビルカ...ここの女神であるのに守れなかった...
自慢の翼は片方雷に撃たれ無くなり、体は傷だらけの血だらけ...きっともう一度雷を食らえば私は終わりだ。
ビルカは平和だと思っていたのに...私が平和に保っていたのに...!!
エネル...お前は...!!
私は立ち上がり、エネルに攻撃を仕掛けようとしたがぼろぼろの体は言うことを聞かない。
「辛そうだな...こんなにボロボロになったことはないだろう?」
「無いわよ馬鹿...お前なんかお前なん...か...!!」
立っているのも辛かった私は地面にへたりこんだ。
もう力もない...。
「さぁ、そろそろ行くとするか」
エネルは私にトドメを刺さずに背中を向け歩き出した。
「ビルカをこんな姿にしてどこへ行くんだエネル!!」
私が叫ぶとエネルは足を止め、私の方に戻ってくる。
どんどん近付いてくるエネルに私は震え、退いてしまう。
やだ...死ぬのは怖い...!!
「お前が俺の下につくというなら連れて行ってやろう」
エネルはニタリと笑って、自分の下につけと勧めてくる。
しかし、私の答えは一つしかなかった。
「絶対に嫌!!」
断ると、エネルの表情は暗くなり突然私の顎を掴んで上を向かせた。エネルは私の顔に顔を近づけ、険しい顔で言った。
「俺の下につけばいいものを...お前はここで死ぬまで一人になるのだ」
「くっ...だったら殺せ!!お前さえいなければ!!」
私は涙目になりながら叫んだ。私の故郷は無くなってしまった...私にはもう何もできない!!
だったらもう...いっそのこと...
私はただ最期の時を待つしかなかった。