ごちゃ混ぜ短編集

□間桐桜(EXTRA) IN ジョジョ その1
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めんどくせぇ事は重なるものだ。
学校をサボり過ぎたツケが来たのか先程呼び出しがかかった。
押し付けられた課題をクリアしねえと留年らしい。
更に俺の眉間のシワを寄せているのは

「ジョジョ〜!」
「ねえ一緒に帰りましょうよォ〜!」

ウットォしいことこの上ない、やかましい女共の黄色い声。誰がてめぇらと帰るか。現在進行形でこのやかましい女共から逃げ回っているせいで課題は出来ねえし。全くやれやれだぜ。
仕方ねえ。保健医はまだやかましくねえオンナだし、避難するか。走るスピードを上げ勢いよく保健室のドアを開ける。

ガラッ

…チッ。いねえのか。ん?
保健医は居なかった。代わりに1人女がいた。

「ジョジョォ〜!どこ行ったの〜?」

クソっ声が近え!俺がどこ行こうがてめぇらには関係ねえだろうが!

「ベッドに隠れて下さい」

ベッドに隠れろだあ?そんなのすぐにバレるに決まってんだろ。だが有無を言わさない眼差しに舌打ちをしてベッドに潜り込んだ。バレたらタダじゃおかねえ。

ガラッ
「ジョジョォ!…あら?」
「いない…?あ!窓が空いてる!」
「あそこから出ていったの?ヤダカッコイイ!」
「あの…ここは保健室ですのでお静かにお願いします」
「あ!あなた、ジョジョを見てない?!」
「ジョ…なんですか?」
「知らないの?!ジョジョよ!空条承太郎!とぉってもカッコイイ男なんだから!」
「はあ…あ、そう言えば先程男の人が飛び込んできて」
「!やっぱり窓から出ていったのね?!」
「んもう!シャイなんだからぁ!」
「あの…気分が悪くて横になっている方もいるので騒ぐのでしたら出ていって下さいませんか?」

しばらく俺を追っかけてきたウットォしい女共と保健室にいた女のやり取りが続いて、諦めたのか複数の足音が遠ざかっていき

ガラガラ
ピシャン

「……行きましたよ」
「…助かった」
「まだ近くにいらっしゃるかもしれませんし、少し休憩していってはいかがですか?」
「そうする」
「コーヒーかお茶、どちらか飲まれますか?」
「…コーヒー」

はあ…確かに疲れた。肉体的ではなく精神的に。なので女の言葉に甘えることにした。
コーヒーの香りが漂ってきたくらいにベッドから起きて女のいたソファに近寄れば、分厚い本が置いてあった。
何語だ…?ようわからんが表紙に晴れた日の海やら星空が載っていたので興味を引かれ、パラパラとめくっていた。

「どうぞ」
「ああ…悪ぃな」
「いえ…その写真集素敵ですよ」
「ああ…まだ最初の方だがいい写真が載ってるな」
「良ければコーヒーを召し上がっている間、息抜きに読まれて行きますか?」
「…良いのか?」
「先生は会議でまだ帰ってこられませんし、私は違う本を読んでいますから」
「…じゃあ借りる」
「はい」

保健医の机に腰掛け借りた写真集を読む。相変わらず何が書いてあるかはちんぷんかんぷんだったが…ふむ。いい写真だ。
それにしても…自慢じゃねえが俺はモテる。決して自慢じゃねえ。むしろいらん。あんな脳みそプリンな女共に惚れられて何が嬉しいのか。
…話がそれた。だから女の反応は大抵2択だった。
キャーキャー騒ぐか、それとも怖がるか。この女はどちらでもない。単に興味がないのか、だが気遣いは忘れない。

「…何か?」
「いや。この海の写真は特に良いと思ったがなんて書いてあるのかと思ってな」
「ああ。その本ロシアの本なんです」
「どうりで読めねえはずだ。というかてめぇは読めんのか?」
「一応一通りは。でも文書が読めなくても写真の素晴らしさは分かりますよね」
「ああ…このヒトデの写真なんて好みだ」
「海がお好きなんですか?」
「興味はある」
「ではこの学校の図書室でリクエストしてみると良いかもしれませんよ。その本も私がリクエストして取り寄せてもらったのです」
「てめぇもこういう本が好きなのか?」
「…そうですね。好きだと、思います」

えらく曖昧な言い方だな。そう言おうとした。

ガララッ
「ごっめーん!間桐さん、お待たせ!ってアラ?ジョジョ?」
「お気になさらず。では失礼しますね」
「…おう。これ返す」
「ありがとうございます」

ガラガラ
パタム…

「…なんだ」
「間桐さんと何してたのよ〜?いい子だったでしょ間桐さん」
「…間桐っつーのか」
「あらヤダ一緒にいたのに名前も聞いてなかったの?特進クラスで2年生の間桐桜さん。保健委員で今日はお留守番頼んじゃったの」

そんなにペラペラ個人情報喋って良いのかよ。だが…ちらりと課題を見る。そこには訳の分からねえ言語がつらつらと書かれているプリントの束があった。


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