ごちゃ混ぜ短編集

□さくらちゃんのもしものED
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<お前はもう 戻れない>


「ふふふ」
「なんや〜?どないしたんや?」
「雪梅ちゃん、四つ葉のクローバーの押し花送ってくれたんだ」
「…以前会った時はまだ赤子だったな」
「今じゃ走れるくらい大きくなったんだよ」

本当に月日が流れるのは早いなあ。ついこの間産まれたばかりだと思ってたのに。
可愛いなあ〜。孫やひ孫が産まれた時も思ったけど、やっぱり思っちゃうよね。あ、目元が小狼くんに似てるかも…

「…」

私の魔力は強くなっていった。
かつてのクロウさんのように次第に制御出来なくなっていった魔力。
それは私の時間を止めた。
あれから100年以上経っているのに、私の身体は20代以降時間が止まっている。

お父さんももういない。
お兄ちゃんももういない。
知世ちゃんももういない。
小狼くんも…

強すぎる力は己自身をも不幸にする。
小狼くんのお母様はそう言っていた。

でもね。私、不幸なんかじゃないよ。

『不幸になんてさせない』

うん。小狼くんはたくさん私に残してくれた。大切な家族。
ケロちゃんも月さんもいる。1人なんかじゃないから。
だから心配しないで。私には無敵の呪文もあるから。

「今度は桜の花が咲く頃みんなに会いたいって」
「お〜ほんまか?背中に乗せたろうか」
「雪梅ちゃん、小さいケロちゃんの方が好きみたいだよ」
「子どもにワイの真の姿の格好良さはまだわからへんか」
「二人とも」
「…なんだ」
「…ずっと私のそばに居てくれてありがとうね。すごくすごく嬉しいんだ」
「礼など不要だ」
「そや。ワイらはさくらの家族なんやからな」

小狼くん。いつか小狼くんの元に行ける日が来るまで、小狼くんが大好きだって言ってくれた私のままでいたいな。

私に出会ってくれてありがとう。
私に恋してくれてありがとう。
小狼くんに出会えて、私は本当に本当に幸せだよ。


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