ネタ帳

□何これ
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ごめんなさい。先に謝っておきます。完全にオチはありません。中身もありません。思いつきで書きました。

このお話は夢小説もどきです。オチはありません。苦手な方はお逃げください。


今日は少年探偵団での活動もないので、ポアロで読書でもしようと思ったのだ。人も居ないしソファーの席でリラックスしながら読もうかなとそう思った。スケボー片手に奥に向かおうとした時、たまたまその女性はカウンター席にいた。
栗色の肩くらいまでの髪、同色の瞳の横顔しか見えないが顔立ちの整った女性だ。隣の席に買い物袋とハンドバッグを置いている事から商店街で買い物帰りに立ち寄ったのかな。そんな事をぼんやりと思っていた。それだけだった。
今日は梓さんが居ないのか安室一人、キッチンにいた。相変わらず人好きのする笑顔を浮かべながら注文まで取るなんて大変だな、と他人事に思っていたのだ。


「お決まりになりましたか?」

「パンケーキと食後にアイスティーを。と守屋は浮き立つ気持ちを抑えながら冷静に答えます」

「かしこまりました」

「……は?」


いやいや。何で普通に流してんの。何で誰も突っ込まないの。
カウンター席の女性も安室も特に気にした様子はない。聞き間違えか、いやいやあんな聞き間違えなんてないだろう、とコナンが女性をガン見していると気付いたのだろう女性がコナンの方を見た。その時のコナンの心境はまさしく「あ、やべ」である。


「こ……こんにちは……」


引き攣る笑顔で精一杯の演技をしてもどこかぎこちなさが残る。だが女性はそんな事全く気にしてないように、というかコナンが「俺何かしたか?」と思うような真顔で答えた。


「こんにちは、良いお天気ですね。と守屋は眼鏡の少年に挨拶を返します」

「えぇ……」


何この人。せめてこちらがニコリと笑っているのだから笑ってくれ。そんな事には気付かないのか守屋、と自身の名前なのか繰り返し口にする女性はバッグの置いてあるのとは逆の椅子を後ろに下げる。


「良ければ守屋の隣に座りますか。と守屋はナンパではなく良心からお誘いします」

「えぇ……」


本日二回目の「えぇ……」である。この反応から決して自分に好意を抱かれているとは思えないだろうに。何故誘う?というかいつものコナンならばひきつりながらも断るなり頷くなりしそうなのに、それすら出来ないとは。
内心「やべ、めんどくせーのに話しかけちまった」と後悔しながらも、だからといって断ってしまうのは失礼だと思い、言葉に甘えて腰掛けた。後にコナンは思う。何で断らなかったのかと。
誘った割に話を振ってくる訳でもなくコナンはどうすれば良いのか必死に悩んでいた。流石に今更「ぼ、僕席変わるよあはは〜」なんて言えるはずもなく。ならば疑問を晴らすべく突き進むまで、と無駄に腹を括ったコナン。別にしなくて良いと思うのだが。


「お……お姉さん、その、その話し方……その……」


変わってるね、とも変だね、とも何それ、とも言えず、口を濁す。
相変わらずニコリともせず真顔を向けられる。何故自分がこんなに恐縮しなければいけないのだろう。でも言いたい事は伝わっただろう?と半ば祈るようにヤケになったように心の中で叫ぶ。


「……では、この話し方なら良いかな」


通じた!


「う、うん!そ……」

「って守屋は守屋は尋ねてみる」

「名前が二回も出てんじゃねぇか!」


通じてなかった。思わず壁ドンならぬ床ドンでもなく……この場合は何ドンというのだろう。とりあえず誰もときめかない、ただ自分が痛い思いをするだけの無意味な机ドンをするコナン。


「てへぺろ。と守屋は中途半端に可愛いこぶって誤魔化そうとします」

「中途半端って分かってるんならもっと演技しろよ!」

「表情筋と目が死んでいるのにそれは無理な問題です。と守屋は困惑を顕にします」

「顕になってねぇ!もっと頑張れよ!何で諦めんだよ!」

「どこの熱血教師かコーチか。と守屋は今日会ったばかりのはずの少年に半ば引きながら答えます」

「引きてえのはこっちだよ!何でお前が引くんだよ!なんだよその話し方!」

「ぷ……ふはっ」


地団駄踏むというかドラマーのようにカウンターを叩きまくりながらコナンは叫ぶ。余程我慢ならなかったのか演技などクソ喰らえと言わんばかりに。
そして我慢ならなかったのはもう一人。もちろん本名かは分からないが守屋と名乗る女性ではない。彼女はコナンのツッコミセンスに好感を抱いていた。
調理しながら二人のかち合わない不毛なやり取りをBGMにしながらマナーモードになっていた安室だったが、振り回され過ぎたコナンがツボにハマったのか噴き出した。
しばらく流し台に向かって震えていたが失礼、と咳払いをした。散々笑った安室にコナンは憮然とした面持ちである。その姿に笑いの発作が小さく起きているがそこはトリプルフェイス。小さく震えながらカウンター越しにパンケーキを女性に渡す。
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