ネタ帳

□さくらちゃん成り代わり主INApocrypha
1ページ/2ページ



キーン…

ここは…また夢の中かな。予知夢的な?
でも今回は月をバックに月峰神社に誰かいるって訳じゃないみたい。
今思えば月峰神社の神主さん、観月先生のご両親さん。2回…いやカードさんの騒ぎを含めて神社で何回もドンパチしてごめんなさい。
何かひたすら真っ暗だなー。てくてく歩いていたら誰かいる感じがする。
くっ…驚きグッズを持ってこれなかったのが残念!

「あっ、見っけ」

第一村人はっけーん!…村人じゃなかったーけど男の子かな?いた!何か寒そうな格好だなあ…とりあえず声かけてみよー

「こにゃにゃちわー!」
「…?!」

ふふふ…声はもらさなかったのが残念だけどナイスリアクション!

「私、木之本桜―。寒くない?何か羽織る物…ないかー」
「…ぁ…?!しゃべ…れる…?」
「うん?」

羽織る物は残念ながら持っていなかった。でも探してたら驚いたような声が聞こえた。え?喋れる?

「あなたは…誰だ?」
「だからさくらだよー。お兄さん?あれ?同じ歳くらいかな?まあいいや、名前聞いても良い?」
「…」

途端に悲しげに俯いてしまった。え?!何かしたかな?!美人さんの憂い顔って絵になるけど…こういう時に便利アイテムAME CHAN があれば…!

「…すまない。俺には名乗る名がない」
「…ぱーどぅん?」

あ、発音悪かったかも。何ですと?名がないですと?

「俺は…人間ではない…から」
「え?だから?」
「…え?」
「私、人間じゃないけど仲良い子達いっぱいいるよー。あ、あなたが幽霊とかキョンシーとかゴーストだったら泣くけど」
「いや…俺はホムン、クルスだ」
「なら大丈夫!何かこう女の勘的なものだけど、あなたとは仲良くなれそうだし。というかなろー」
「…いいの、だろうか…」
「良き良き!あー私人と感覚がずれてるってよく言われるから、あなたの事はお兄さんって呼ぶよ。下手に名前とか付けちゃうと悲劇になりかねない!」

というかお兄さんは自我が薄そうなので、何て呼んでもOKって言いそうなんだよねえ。例えば「千代の富士」とか呼んでも「ああ」って流しそうだし。そんなのつまら…悲しいよ。

「じゃあ俺は…サクラ、と呼んでもいいか?」
「いえーす!ね、ね、私が起きるまでお話し相手になってくれない?貴方の事も色々聞きたいし」
「…俺は語る事など無いに等しいから、聞き役になってしまうが…」
「んー?それでもお兄さんが退屈じゃないならぜひ〜」
「いや…誰かと話すなんて今まで…これからも出来ないだろうから嬉しい」
「…ぱーどぅん?」

あ、さっきも同じ事言っちゃったよ。と言うか気になるフレーズ出ましたよ。
何?このお兄さんはどこかに名前も付けられないで、閉じ込められてるの?虐待じゃん!
この後めちゃくちゃお兄さんのお話聞いた。


俺はただのホムンクルスだ。魔力供給用に鋳造された、消耗品。

「くらーい!ダメだよ!普通のホムンクルスさんって意識ってないんでしょ?そんな中お兄さんは目覚めました!はい!オンリーワンの価値が!そこにある!」
「そういう…ものだろうか?」
「そうだよー。んーでもだからってお兄さんがどこに今いるのかわかんないから助けに行けない…ごめんね…」

いつものように水槽の中で眠っていたら、真っ暗な闇の中にいた。
何処までも続く暗闇と静寂…これが死と言うものなのかと思った。
そうしたらこの女の子…サクラに出会った。
サクラは魔術師らしく、眠っていたらここに来たらしい。

「別に謝る必要はない。俺はサクラとこうして話が出来るだけで嬉しい」

そう。きっとこれが「嬉しい」という感情なんだ。1人でただ存在して廃棄される。そう思っていた。
そんな俺を見つけて話しかけてくれた人間がいた。それはなんて「幸せ」な事だろう。
助けに来ようとしてくれていたのか。項垂れるサクラの頭を恐る恐る撫でる。

「ぬぬ!私は諦めないよ!こうしてお兄さんと出会えたのも必然なんだから!」
「ヒツゼン?」
「この世に偶然はない、或るのは必然だけって言ってた!お兄さんとの御縁はもう繋がってるんだよ」

成程。だが実際、もうすぐ聖杯戦争が始まるであろう俺の近くに、サクラを近づけさせる訳にはいかない。
本当は自分がルーマニアのユグドミレニアの研究室にいるのは分かっている。
叶うならば夢の中ではなく、サクラに会いたい。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ