お試し〜コナンキャラ×木之本桜ちゃん

□降谷零さんとさくらちゃん(パラレル)
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『おはようございます。本日は全国的に晴れの地域が多く、暖かい一日となるでしょう。まさに絶好のお花見日和です。昼は汗ばむくらいの陽気ですが、夕方になるとー』
プツン

今日の天気を確認し終えたのでテレビを消す。花見……そうか、もう春なんだな。カーテンを開けば薄暗いがひと月前よりもだいぶ日が昇るのが早くなった。そのまま戸を開けてベランダに出ればキンと冷えた空気を感じる。冷たい空気を吸い込めば精神が研ぎ澄まされる気がするし、運動をして火照った身体には心地よいから別に嫌いではない。
ただ困るとしたら服選びくらいだろうか。暖かい日が続いたから冬物の服をしまった途端に寒くなる、なんて事はよくあるし、季節の変わり目は体調も崩しがちになる。
それでも四季が移り変わるのを感じる度に心がどこか浮き立つのは万人共通では無いだろうか。春に桜、夏に蛍、秋に紅葉、冬に雪。それぞれに美しさがあり、味わいがある。それらを目にする度にこの国に生まれてよかったと思う。

「ワン!」
「ああ、ごめんごめん。待ったか?」
「ワンワン!」

まだか、と言わんばかりに僕に飛びつき鳴くハロ。今日は久しぶりに完全オフの日、休日だ。ハロの頭を撫でながらベランダから玄関へと向かう。いつものジャージに一応呼び出されるかもしれないので財布とスマホを身につける。ガスの元栓も窓の鍵もしめた。特に忘れ物はないな。最後にドアの鍵を閉めて、僕をまだかまだかと目で問かけるハロに笑う。

「さて、行こうか」
「アン!」

元気よく返事をしてリードを引っ張る。思えば最近「バーボン」の仕事で「安室透」の家に戻れない日が続いた。世話は風見に頼んでおいたが寂しかったのだろうか。今のところ予定のない日だ。今日ぐらいこの子に構ってやっても良いだろう。
マンションから少し歩いたところでふと天気予報を思い出した。どうせならば一緒に桜でも見に行こうか。ポケットからスマホを取り出して、近くで桜がきれいな場所を検索すると。

「友枝中央公園、か……」

友枝中央公園とは米花町に隣接している友枝町にある公園の一つだ。道案内アプリを起動してどれくらい時間がかかるのか調べれば十五分弱だそうだ。ジョギングにはちょうどいいだろう。

「ハロ。今日はいつもと違うコースで競走しようか」
「アン!」

ハロも話に乗ってくれた。目で合図してほぼ同時にその場を走り出す。
友枝町。都心からは離れた閑静な住宅街。人口はおよそ五千人程度。米花町とは異なり、犯罪件数が全国的にも少ないのどかな町。記憶の中のデータを確認しながら走り続けていると。

「おはようございます」
「朝から頑張りますね」

時々すれ違う町の住人に声をかけられる。朝の七時前というだけあってまだ人も車の通りもまばらだし、静かだ。町の花が桜という事もあるのだろうか。至るところに桜の木が植えられている。風が吹く度にふわりと花びらが舞い落ち、道を薄いピンク色に彩る。平穏な町だな。

「……ワゥ……」
「ん?」

先程まで隣に並んで走っていたハロだが、疲れてきたのだろう。足を止め振り返れば息を荒くしたハロが。仕方が無いな。

「ハロ、もう少しで公園に着くから。それまで頑張れるかい?」
「!ワン!」
「よし良い子だ」

頑張れ。そうしたらゆっくりお花見しよう。
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