奇跡ーmiracleー
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平子「皆もう揃ってんのんか?」
羅武「大体な」
一番隊隊舎にある、各隊の札が下げられている壁を見る
二番隊から九番隊、十三番隊は表面を向けて掛かっている
十番隊と十二番隊の札は掛かっていないが、十一番隊に関しては裏面のまま掛けられていた
平子「十一番隊が来てへんやんけ」
羅武「アイツはサボりだ。相変わらず言う事聞かねぇみたいだぜ」
平子「なんや、十代目の剣八か知らんけど、難儀なやっちゃなぁ。なんであない豚みたいなヤツ隊長にしたんやろなぁ?」
藍染「隊長!」
咲桜「平子隊長、余所様の隊長の悪口はやめて下さい」
羅武「しょーがねぇだろ?代々十一番隊隊長は剣八が務める。そう言う“しきたり”だ。誰かが悪いってんなら、あいつに負けた先代の剣八が悪いのさ」
平子「せやなぁ!情けなぁて涙出てくるわ」
咲桜「ですから・・・」
京楽「おやぁ?人の悪口は感心しないねぇ」
羅武「あれ・・・今日は早いねぇ、春水さん」
京楽「何言ってんの?僕はいつも一番乗りだよ」
リサ「今日はあたしが、ケツひっ叩いて起こしたんや」
京楽「余所の隊長さんにタメ口利くのやめなさい」
浮竹「曳舟が見えないなぁ。今日はもう来ないのか?」
京楽「うん。彼女はもう、あっちに合流したみたい」
そこからは、移動しながら会話が続く
浮竹「忙しないなぁ。急事でも無いんだ、もっとゆっくりすればいいのに・・・」
京楽「全くだ」
平子「しかしあれやなぁ。この頃、コロコロコロコロよう隊長変わりよんなぁ。一昨年三番隊に、ローズが入ったばっかしやのに」
三番隊隊長・鳳橋楼十郎が、別の廊下でくしゃみをした
平子「次は十二番隊。こんなんでここ大丈夫なんかいな?」
京楽「まあまあ、何事にも変わり時ってのがあるんだよ。今はうちがそういう時だってだけの話さ。考えてみるに、実際百年以上隊長やってんのなんて、僕と浮竹と山じいくらいじゃないの。ねぇ?」
浮竹「くらいじゃない!卯ノ花隊長がいるだろう?」
京楽「おっ!そうだった。大先輩忘れちゃ叱られちゃうよ。怖い怖い」
卯ノ花「何が怖いのです?」
京楽・浮竹「・・・・・・」
京楽「いやぁ、なんにも!今日も怖いくらい良い天気ですねぇって、話を。ねぇ?」
浮竹「あ、ああ!」
リサ「アホやな、ホンマに。うちの隊長は」
卯ノ花「三番隊は引退。十二番隊は昇進。十番隊のように殉職したわけではないのです。平和で良い事じゃありませんか」
藍染「昇進!?」
平子「コラ惣右介!」
藍染「失礼しました!隊長達のお話に・・・」
京楽「いや、構わないよ惣右介くん。なんだい?」
藍染「我々副隊長は聞かされていないのですが。十二番隊の曳舟隊長は、引退ではなく昇進されたのですか?」
咲桜「そうですよ」
藍染「え?」
京楽「ん?」
平子「なんや咲桜?お前知っとるんか?」
咲桜「はい。水無月家にとっても・・・関係ない話では、ありませんから」
平子「・・・・・・そうやったな」
藍染「隊長位より上となると、四十六室ですか?隊長から昇進して、四十六室になったという話は聞いた事が・・・」
咲桜「無くて当然です。そんな事例ありませんから。彼女が入ったのは、王族特務・零番隊と呼ばれる組織です」
藍染「王族、特務・・・!?」
咲桜「はい」
藍染「しかし、なぜ水無月三席が・・・?」
咲桜「三席である私が知っている理由は、私が水無月家の人間だからです。水無月家は王族と何かしらの関係がある・・・今はそれだけ、言っておきます」
銀嶺「なんじゃ?通せんぼか?」
藍染「失礼致しました!」
咲桜「申し訳ありません。朽木隊長、しほ−−」
夜一「夜一!」
咲桜「・・・・・・よ、夜一隊長」
夜一「ったく、何度言わせる気か?わしの事は夜一と呼べと言うておろう」
咲桜「ですが、三席の身である私がそのような・・・」
夜一「構わん!わしが良いと言っている!」
咲桜「は、はぁ・・・」
そう言ってから、六番隊隊長の朽木銀嶺と通り過ぎようとする夜一
卯ノ花「おめでとうございます」
夜一「祝いの言葉なら、本人に言ってもらえぬか?卯ノ花隊長」
平子「【ボソッ】なんや・・・?新入りて、二番隊の・・・」
拳西「来たみたいだぜ、新入り。並んで待てってよ、じいさんが」
扉を開け、遅れてやって来たのは新しい十二番隊の隊長−−
浦原「ありゃ!?えーっと、もしかして、僕一番最後ッスか?遅くなっちゃってすいません。それから・・・はじめまして!」
平子「なんや、えらい緩そうなんが入って来よったな」
ローズ「人の事、言えんの?」
咲桜「言えないと思いますけど」
平子「黙っとき」
浦原「えーっと・・・入ってもいいンスかね?」
夜一「ヘコヘコするな!」
浦原「っ!?」
夜一「お主はもう隊長なのじゃ。堂々と入って来んか、喜助」
浦原「は、はぁ・・・」
咲桜「早く入らないと、後ろから痛い目に遭いますよ。浦原喜助さん?」
浦原「あれ?咲桜サン?咲桜サンじゃないッスか!?」
咲桜「嬉しそうに人の事を確認する前に、早く入った方が身のためですよ」
浦原「え?」
山本「そうじゃ、早よ入らんか!」
浦原「痛っ!?」
忠告も虚しく、浦原は後ろから杖で突かれた
咲桜〈痛そ・・・〉
山本「これより、新任の儀を執り行う」
浦原喜助が十二番隊隊長となった瞬間、また、運命が動き出す−−