奇跡ーmiracleー

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五番隊隊舎前



咲桜「五番隊、か・・・」



藍染「こんにちは。水無月咲桜さん、でよろしいですか?」



咲桜「こんにちは、藍染副隊長。はい、私が水無月咲桜です」



藍染「やはりそうですか。改めて、僕は藍染惣右介。五番隊の副隊長です。よろしく」



咲桜「本日付で五番隊へ移動、及び第三席として勤めさせて頂きます。水無月咲桜です。こちらこそ、よろしくお願い致します」



藍染「堅苦しい挨拶は結構ですよ、水無月三席。ではどうぞ、中へ」



五番隊副隊長、藍染惣右介を先頭に隊舎へと入る



隊首室へと向かう道中、藍染が口を開いた



藍染「水無月三席」



咲桜「なんでしょう?」



藍染「僕の記憶違いでなければ、あなたは頻繁に隊を移動になっている様ですが・・・」



咲桜「そうですね、実際これで5回目です」



藍染「5回目?」



咲桜「はい」



藍染「あなたのような出来る人材は、やはりどの隊でも欲しいと思われてしまうのでしょうね。引っ張り凧、というヤツですかね」



咲桜「・・・さあ?特に、そうされるような人材でもないと思いますけど」



藍染「ご謙遜を。真央霊術院をトップの成績で卒業。四番隊では、優秀な医療隊士だったと伺いました。それから九番隊で力を付け、攻防共に長けた死神だと」



咲桜「皆さんのおかげです」



藍染「それでも、あなたの努力の結果である事に変わりない。まあ更にその結果、隊を転々と移動する事にはなってしまいましたが・・・大変ですね、あなたも」



咲桜「そうですね。大変だと思える事も、いくつかありました。ですが、楽しかったかと聞かれれば楽しかったですし。面白い人達もいましたし。つまらなくは、なかったです。色々と遣り甲斐もありましたから。機会があれば、また一緒に仕事をしたり、食事をしたいとも思います」



藍染「・・・・・・」



咲桜「?あの、何か・・・?」



藍染「あぁ、すみません。少し意外だったので」



咲桜「意外、ですか?」



藍染「ええ。噂からして、もっと無口な人かと思いましたが・・・意外とお喋りなんですね。それと、楽しかったとか、面白いと言ったのも意外でした」



咲桜「え?」



藍染「いつもいつも、つまらなさそうな顔をしていると聞いていたので。実際、ここに来た時のあなたの顔も、そう言いた気な顔をしていましたよ」



咲桜「・・・・・・そう、でしたか・・・」










隊首室



藍染「隊長。水無月三席が見えました」



平子「おう、来たか!入ってええでぇ!」



藍染「失礼します」



隊首室には、男がひとりいた



真っ直ぐに切り揃えられた前髪



後ろ髪は長く、色は目立つ金髪



そして、五の字を背負った白い羽織を着ている



彼こそが、五番隊隊長・平子真子だ



平子「よぅ来たなぁ、咲桜!」



咲桜「本日付で、五番隊第三席として勤めさせて頂きます。水無月咲桜です。よろしくお願い致します」



平子「なんやねん、そない堅くならんでもええやんけ。もっと気楽にいこうや」



咲桜「は、はぁ・・・?」



藍染「隊長はいつも大体こんな感じです。調子が狂うでしょうが、暫くの辛抱です」



咲桜「と、言うと?」



こっそりと話し掛けてきた藍染に合わせ、咲桜も小声で問い掛ける



藍染「暫くすれば、慣れてしまうでしょうから」



咲桜「そういう問題ですか」



平子「おい、惣右介ぇ!何お前ひとりで咲桜とコソコソ話てんねん!」



藍染「あぁ、すみません。こちらの話です。隊長はお気になさらず」



平子「気になるから言うてんねん!」



咲桜〈本当に、慣れてしまっていいのだろうか?〉



平子「まあええわ!ほな、改めて自己紹介といこか。俺が五番隊隊長、平子真子や。よろしゅうな!」



咲桜「は、はい。改めまして、よろしくお願い致します」



これは、彼らの出逢いではなく、“再会”の瞬間だった



藍染とまともに会うのはこれが初めてだが、平子とは出逢いではなく再会



それを語るのは、もう少し後になる



だが、2人の運命が本格的に動き出したのは、この再会の瞬間からだった−−
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