奇跡ーmiracleー

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平子「ん?オッス、おはようさん」



浦原「あ。おはよっス、平子サン」



平子「真子でええ言うとるやろ?メンドイやっちゃな」



咲桜「浦原隊長は前からそうです」



浦原「あはは・・・咲桜サンこそ、前みたいに喜助でいいって言ったのに・・・相変わらず、公私混同しない人っスね」



咲桜「余計なお世話です」



平子「おはようさん、マユリ」



涅「よそよそしく、涅と呼べと言ってるだろう。不愉快な男だねぇ」



平子「・・・・・・メンドイやっちゃな。あ、そういや、聞いたかお前?あの話」



浦原「どの話っスか?」



ドカッ



平子「痛ぁぁぁ!!なんやねん、ひよ里!?いきなり!」



膝裏を蹴り上げられた平子は、その場に崩れた



こんな事をする人物はひとりしか居まいと、後ろに立つひよ里を振り返る



ひよ里「うちへの挨拶が、まだや!ひとりにだけ挨拶せぇへんて、どういう事や!?」



平子「なんでお前に挨拶せなあかんねん!?」



取っ組み合いを始めた2人を呆れたように見下ろすのは、やはり彼女



咲桜「またですか?いい加減にして下さい、猿柿副隊長。平子隊長も大人気ないですよ。おまけに、こんな道のど真ん中で」



平子・ひよ里「「こいつが悪いんやんけ!!」」



咲桜「いや、お互い様では?」



ひよ里「お互い様とちゃうわ!このハゲが悪いんや!」



平子「はぁ!?俺とちゃいますぅ!お前やお前!」



咲桜「・・・もう」



くいっ



平子「うおっ!?」



咲桜「いい加減にして下さい、本当に」



平子「っ・・・」



先に促す時には必ずと言っていいくらいに起こす、この行動



癖と化している、片手を引っ張る仕草



ひよ里「何、ぼーっとしてんねん・・・このハゲ!」



平子「ぬおぉ!?何すんねん!咲桜ごとぶっ飛ばす気かい!」



ひよ里「アホか!咲桜から引っぺがすためにやったんや!お前だけぶっ飛ばす気ィやってん!勘違いしなや!」



咲桜「あの・・・私を巻き込まないで頂きたいのですが・・・」



浦原〈大変っスねぇ、咲桜サンも〉



ひよ里の飛び蹴りを、咲桜を抱き締めて避けた平子



向かい合って言い合う2人に、自然と挟まれる形になる咲桜



呆れ半分、疲れ半分で発言しているのを聞いた浦原



だがそれを微笑ましいと思っているためか、自然と口元は緩んでいた



そんな中、今度は藍染が浦原に声を掛ける



藍染「そうだ、浦原隊長。もう耳にされましたか?」



浦原「何をっスか?」



平子と同じような質問をしてきた藍染に、これまた同じように聞き返す



だが今度はきちんと答えが返ってきた



藍染「流魂街での、変死事件についてです」



平子「それや!俺が言いたかったんは!ナイスフォロー、惣右介!」



ひよ里との睨み合いを中断し、藍染の発言に平子が反応した



浦原「変死事件?」



平子「そや。ここ1ヶ月程、流魂街の住人が消える事件が続発しとる。原因は不明や」



浦原「消える?どこかへいなくなっちゃうって事っスか?」



平子「アホか?それやったら蒸発って言うわ。だいたい蒸発やったら原因なんか知るかい。そいつの勝手やろ?ちゃうんや。消えるねん。服だけ残して、跡形もなく」



咲桜「通常、死んで霊子化するのなら、着ていた衣服も消えます。でも、残っている」



平子「死んだんやない。生きたまま人の形を保てんようになって、消滅した。そうとしか考えられへん」



浦原「生きたまま人の形を保てなく・・・?」



平子「すまんなぁ。俺も卯ノ花隊長に言われた事そのまま言うてるだけや。意味わからへん。ともかく、それの原因を調べるために今・・・九番隊が調査に出とる」



言いながら咲桜を離し、浦原に背を向けた平子



咲桜「・・・・・・」



九番隊の事を聞いた彼女の背中が、ふと寂しげに見えた



平子「・・・心配なんか?拳西が」



咲桜「あ、いえ・・・そういうわけではありません」



平子「なんや?素直やないなぁ、お前」



藍染「いつもの事じゃないですか」



咲桜「え?」



浦原「そうっスねぇ」



ひよ里「変なとこで素直やないんは、咲桜の癖や。今更やな」



咲桜「え、えっ!?」



まさかの意気投合に、思わず困惑する咲桜だった



平子「・・・・・・しゃーないなぁ」



そう言って袖に手を突っ込むと、何かを掴んで咲桜の頭に乗せた



平子「ほれ、やるわ」



咲桜「え?あ・・・ありがとう、ございます・・・」



突然やると言われたせいか、一瞬反応に困ってしまった



だが頭に手を伸ばし、乗せられたそれを受け取った



桜の柄の巾着が、そこにあった



不思議に思いつつも開けて見ると、中には色とりどりの金平糖が入っていた



ひよ里「なんや、金平糖やないけ」



平子「お前にはやらへんで」



ひよ里「いらんわアホ!お前からやなんて尚更や!って、そうやないわ!なんでハゲが咲桜の好物知っとんのかって話や」



浦原「あぁ!もしかして、前に僕が渡してたからっスか?」



平子「そ、そんなんとちゃうわアホ!」










その後、九番隊により変死事件に初の死神の犠牲者が現れた、と報告が入った



犠牲者というのは、九番隊の前に出された先遣隊10名



十二番隊から調査員派遣の依頼をし、浦原は現場にひよ里を向かわせた



どうなるかも、知らぬまま・・・
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