奇跡ーmiracleー

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ひよ里「やっぱ納得いかん!どーせならお前がうちとこの隊長なれや!」



咲桜「なぜそうなるのですか」



1、2時間くらい前だろうか



偶然道で会ったひよ里に、「咲桜!ちょお付き合え!」と言われて強制連行



愚痴を聞きながらお昼を食べていた



ひよ里「お前かてそんくらいの実力あるやろ?普段冷めた顔して冷静な優等生しとるけどなぁ、お前が鋭い奴や言うんはみんなが知ってんねん!剣術かてその辺の死神相手なら、3分も掛からんと倒してまうやろ!人望もあるし・・・あんたが隊長なら、うちかて文句なんかないねん」



拗ねた子供のような顔をすると、右手で頬杖をついてそっぽを向く



咲桜「喜助はあんな性格ですが・・・やる時はきちんとやる人です。そこは私が保証します。ただ、真意が読み難いんです。彼の場合は」



ひよ里「あいつの真意?」



咲桜「はい。私も最初はわかりませんでした。遠回しに物を言ったり、かと思えばストレートに言ってきたり。でも、彼の気さくな所は好きです。肩肘張る必要がないのは、私には有り難いですから」



ひよ里「咲桜」



咲桜「はい」



ひよ里「・・・・・・お前、真子とあいつやったらどっちが好きやねん?」



咲桜「ッ!?げほっ!げほっ、げほっ!」



突然のひよ里の質問に、飲んでいたお茶が気管に入ってしまったらしい



咲桜「げほっ、げほっ・・・な、なんなんですか?突然・・・」



ひよ里「ただの興味本意や。ええから答えんかい」



実は、ひよ里は知っていた



平子が自覚なき恋に落ちている事は・・・



最近の彼の様子を見る限りでは、あちらは自覚したらしい



だが咲桜は未だに、自覚なき乙女のようだ



咲桜「喜助はただの昔馴染みです。平子隊長も・・・隊長は隊長です!そんな、好きとか嫌いとかは・・・」



平子の時だけ、一瞬考えるような素振りを見せた



が、すぐに隊長は隊長だと言い切った



好きなのか嫌いなのかは、はっきりとは言わなかったが・・・



ひよ里「・・・・・・まあええわ。どーせあのハゲは、他に気ィなんかないやろうしなぁ」



咲桜「?」



ひよ里「気にせんとき。こっちの話や。付き合わせてしもたな。ほな、うちもう行くわ」



そう言ってから勘定をひょいと持つと、席から離れるひよ里



咲桜「え、あの!猿柿副隊長!お勘定は、あの!」



ひよ里「ええわ、無理矢理付き合わせたんはうちやし。今回は特別に、うちの奢りや。ほなな」



咲桜「は、はぁ・・・」



結局、彼女の愚痴を聞いて、一緒にお昼を食べただけになってしまったような気がする



咲桜「本当に良かったのかな・・・あ。平子隊長のこと、忘れてた」



いつも昼食を共にしていたのだが、今日はひよ里に捕まってしまった



咲桜〈・・・・・・隊長、まだよね。たぶん〉




















咲桜「只今戻りました」



平子「おー、咲桜。戻ったか」



咲桜「はい・・・・・・隊長、その顔はいかがされました?」



顔面・・・特に鼻の頭が赤い平子



平子「ひよ里や、ひよ里。なんや今日、あいつ荒れとってなぁ。えーと言うな!とか言っていきなり蹴り飛ばしてきよった」



咲桜「それは・・・災難でしたね」



おそらくそれは、自分と話をする前の出来事だろうと予測する



強制連行していった際のひよ里は、最初からかなり不機嫌だったように思う



咲桜「浦原隊長が来てから、猿柿副隊長はずっとあんな感じです。余程浦原隊長が気に入らないのでしょう」



平子「・・・お前、ホンマ公私混同せんやっちゃな」



咲桜「はい?」



平子「こないだは喜助て呼んどったんに・・・今は浦原隊長や」



咲桜「友人とは言え、隊長と三席ですから」



平子「細かいやっちゃな。もっと気楽にやらんと、メンタル保てんようになるで?」



咲桜「・・・・・・努力は、してみます」



平子「ん、してみ」



そう言って、咲桜の頭をくしゃりと撫でる



艶のある銀髪は触り心地が良い



身長的にも、彼女の頭は撫で易かった



咲桜「・・・隊長?私の事、子供扱いしてますか?」



平子「してへん、してへん」



咲桜〈絶対してる気がする〉



「お前、真子とあいつやったらどっちが好きやねん?」



ふと、先程のひよ里からされた質問を思い出してしまった



咲桜〈・・・あれは、どちらの意味で聞かれたの?〉



平子「咲桜。お前、髪まとめたりせんのか?」



咲桜「面倒なので」



平子「即答かい」



咲桜「隊長だってそのままです」



平子「前はまとめとったんやで?今はまあええか思てな」



咲桜「隊長が、髪をまとめてた・・・?」



平子「・・・おい。お前、今なに想像したん?」



咲桜「色々」



平子「フツーに天辺で一本にまとめとっただけや!」



咲桜「それだけですか?」



平子「あのなぁ・・・女子とちゃうねん。俺が2つ結びとかお団子とかしとったらキモいやろ」



咲桜「〈・・・・・・ちょっと見てみたい気もする〉」



平子「思っただけのつもりかも知れんけどなぁ・・・声に出とるから駄々漏れやぞ、本音」



咲桜「・・・なんの事ですか」



平子「咲桜!!」
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