奇跡ーmiracleー

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藍染「なんのご用ですか?浦原隊長、握菱大鬼道長」



ギン「あかんやん。見つかってもうた」



東仙「斬ります!」



藍染「いや、いいよ」



東仙「しかし・・・!」



藍染「要・・・僕はいいと言ったよ」



東仙「僭上な物言い、お許しください!」



平子「き、喜助・・・!なんで・・・来たんや?アホが」



浦原「なんスか?その趣味の悪い仮面は」



平子「言うてくれるやんけ」



冗談っぽい口調で行われた会話の後、平子に笑みを向けると視線をひよ里に移した浦原



彼女を見ると真顔になり、スッと目を細めた



浦原「藍染、副隊長」



藍染「はい?」



浦原「ここで何を?」



藍染「何も」



浦原「・・・・・・」



藍染「ご覧の通り、偶然にも戦闘で負傷した魂魄消失案件始末特務部隊の方々を発見し、救助を試みていただけの事です」



平子「お前・・・ようも抜け抜けと・・・!」



浦原「なぜ、嘘をつくんスか?」



藍染「嘘?副隊長が隊長を助けようとする事に、何か問題が?」



浦原「違う!引っ掛かってるのはそこじゃない。戦闘で負傷した?これが負傷?嘘言っちゃいけない。これは虚化だ」



平子「っ!?」



浦原「魂魄消失案件・・・次々に隊士達がかき消えるようにいなくなり、更にこの事態に至った。おそらくそれは・・・・・・虚化の・・・実験っス・・・・・・何者かのね」



睨むように鋭い視線を藍染に向けると、浦原は言葉を続ける



浦原「まあ、この状況で今更何者かなんてボカす必要もないかもしれないっスけど」



藍染「なるほど。やはり君は、思った通りの男だ」



浦原「っ・・・」



すると藍染は、刀を鞘に納めた



藍染「今夜ここへ来てくれてよかった。ギン、要。目的は十分果たした。退くよ」



浦原「待て、藍染!話はまだ・・・!」



鉄裁「お避け下され、浦原殿!破道の八十八、飛竜撃賊震天雷砲!」



藍染「縛道の八十一、断空」



鉄裁「馬鹿な・・・副隊長が・・・・・・詠唱破棄した断空で、私の鬼道を止めた?」



更には、彼らの姿はすでにそこにはなかった



鉄裁「申し訳ない。逃してしまったようです」



浦原「・・・・・・鉄裁サン。彼は一体・・・?」



平子「ぐっ・・・くぅっ・・・!」



浦原「!?」



平子「ぐわあぁぁぁーーー!!」



浦原「平子サン!」



鉄裁「藍染達の事は後回しにしましょう、浦原殿!今は、平子殿達の処置を!」



浦原「だけど・・・虚化がここまで進行した状態じゃあ、ここでの処置は・・・!」



鉄裁「浦原殿。あなたはどうやらこの事について、何か知っておいでのようだ。虚化と言う耳慣れぬ名を持つこの事について」



浦原「・・・・・・」



鉄裁「ならば、この事の対処法も知っている。そう考えてよろしいか?」



浦原「・・・・・・知ってます。賭けのような方法ですが」



鉄裁「承知!それでも何も無いよりはいい。今から彼ら8人全員を、この状態のまま十二番隊舎へ運びます」



浦原「!?」



鉄裁「隊舎の設備があれば、彼らの命は救えましょう」



浦原「この状態のまま?そんな、どうやって?」



鉄裁「時間停止と空間転移を使います」



浦原「なんだって・・・!?」



鉄裁「どちらも禁術。使用は厳に戒められておるもの。故に今よりしばしの間、耳と目をお塞ぎ願いたい」



浦原「・・・!」










十二番隊隊舎



浦原「虚化と言うのは、僕が死神の魂魄の強化を研究する上で到達した、答えの一つです」



鉄裁「・・・・・・」



浦原「その過程で僕は、虚と死神の境界を瞬時に破壊・創造する物質を作りました。それを使って、平子サン達を治療します」



鉄裁「その物質と言うのは?」



浦原「名を−−崩玉」



鉄裁「崩玉?」



その物質を前に、鉄栽は言葉が出なかった



鉄栽〈なんだ?この圧迫感は・・・・・・霊圧?いや、違う!これは存在だ!この石の持つ存在そのものが、私の存在を押し退けようとしているのだ。これは一体なんだ?浦原殿は、一体何を造ったんだ!?〉



思わず、額に浮かんだ冷や汗を拭う



鉄栽「これで、助けられるのですか?平子殿達を、本当に・・・?」



浦原「いいえ」



鉄裁「?」



浦原「言ったはずっス。賭けのような方法だって。崩玉を使って、平子サン達が元通りになる可能性は、多く見積もって2割と言ったところでしょう」



鉄裁「2割?」



浦原「一連の魂魄消失が、藍染副隊長の手によるものなら・・・彼はおそらく、虚化の治療なんてものを想定すらしていないでしょう。方法は無いんスよ。これの他にはね」










翌朝



目を覚ました浦原は、慌てて平子を視界に入れるが・・・彼の顔は、完全に虚の仮面に覆われていた



他の者達も同様、その顔は虚の仮面に覆われていた



鉄裁「浦原殿」



浦原「すいません、鉄裁サン・・・失敗っス」



鉄裁「・・・・・・」



浦原「少し、表の空気吸ってきます」



彼の気持ちとは裏腹に、外は晴れ渡った空が広がっていた



浦原〈・・・約束、果たさせてあげられそうにないっスね。すみません、咲桜サン〉



その後、浦原と鉄裁は四十六室からの捕縛命令により、捕まってしまう



2人は虚化の実験の罪を被せられ、処罰を与えられる事になった



藍染の仕業だと抗議するも、瀞霊廷にいたのを目撃されていると、相手にされなかった



しかも彼らだけでなく、虚化してしまった平子達も虚として処理されると発言される



そんな中、顔を隠して現れた夜一により助けられた浦原と鉄栽



3人は浦原と夜一がよく、一緒に修行をしていた場所に逃げ込んだ



浦原「あ、ありがとっス・・・夜一サン」



夜一「礼なんぞ要らん。昨夜(ゆうべ)なぜ儂にも一声掛けんかったかと、蹴り飛ばすのも後にしておいてやる」



浦原「!」



夜一「8人は全員ここへ運んでおいた。おぬしが研究中じゃった、新しい義骸の試作品ものう。さっさとやってしまえ。今回の事件の話を最初に平子に聞いた瞬間から、おぬしが考えておった最悪の顛末と、それに対する最善の策を」



浦原「!」



夜一「・・・・・・」



浦原「・・・・・・何もかもお見通しっスね。やらしい人だ」



夜一「おぬしが言うか?」



浦原「鉄裁サン。平子サン達に、時間停止を掛けて下さい。そして、そのままこの場所に二、三層の結界を。今から20時間で、僕達2人と平子サン達8人、計10体の霊圧遮断型義骸を作ります」



鉄裁「・・・・・・夜一殿は?」



夜一「儂の事は気にするな。どうとでも逃げおうせるわ!」



浦原「現世に身を潜め、時間を掛けて解き明かします。必ず・・・・・・この虚化を、解除する方法を」
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