劇場版&番外編

□中
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「彼氏さんすっごくイケメンですね!ビックリしちゃいました!」

「◯◯さんって彼氏さんとどこで知り合ったんですか?」

「安室さんってどんなお仕事されてる方なんですか?」

「29歳!?お若く見えるんですね安室さん!」



彼女は思った以上に分かりやすく賢い子だった。

プチ歓迎会の翌日にそれを思い知ることになる。

質問責めとはまさにこのこと。

ちゃっかり私と2人きりのタイミングを見計らっている。



胸のもやもやは治らないけど、答えないわけにもいかない内容ばかり。

あの歓迎会から二日経った。

いつの間にか"彼氏さん"から"安室さん"呼び。

状況も何もかも違うのに、私はこの会社の新人とは良縁ではないらしい。

プライベート的な意味で。





会社では、日中あったニュースの『無差別殺人』という話題で持ちきり。

わざわざ会社が傘を社員に配って回る始末。

私はコナン君や沖矢さんから状況を聞いているから、無差別殺人でないことは知ってる。

でも警察とFBIの捜査会議内容なんて一般人には言いふらせないので黙ってるしかない。



「お疲れ様でした!◯◯さん帰りましょう?」

「…うん。じゃあ先輩、お疲れ様でした」



さらっと一緒に帰る流れを作ってきた。

当然会社を出るまで彼女が一方的に質問してくる。

コナン君や真純ちゃんが無茶してないかも心配だし。

なかなか気が休まらない…明日がお休みで良かった。



「それで◯◯さんと安室さんって…」

「◇◇さん」



少々疲れながら話を聞いていると、安室さんの声が聞こえた。

どうしてここに?



「ニュースで世間が騒がしくなってるので迎えにきました」

「そんな…ただでさえ忙しいのに!」

「大丈夫ですよ」

「あ…安室さんこんにちはっ!」

「こんにちは、先日お会いした方ですね」

「覚えててくださったんですね…!」



きゃーっと叫びそうな勢いで喜びを表す彼女。

私もこれくらい素直になれたらいいのかなぁ…?

ぼんやりその光景を見ていた時ーー



大きな破裂音が無数に鳴り響いた。



「っ…!」

「きゃぁっ!?」



悲鳴を上げながら安室さんの腕に抱きつこうとする彼女。

その光景が見えているのに、音の衝撃で体が固まって動かない。



「◇◇さん、大丈夫ですか?」



彼女に触れられる前にするりと躱し、両手で私の耳と頬を覆ってくれる大きな手。

掴み損ねた手をそのままに呆然とする彼女。

私はまだ固まったまま。

少しして、安室さんの手が離れた。



「こんなときに爆竹で暴れるなんて不謹慎な学生ですね」

「え、あ…爆竹だったんですね」

「えぇ。さぁ早く帰りましょうか」

「はい…」

「え、ちょっと待って…」



後ろから安室さんの左腕を掴もうとする彼女。

やっぱりこの子は、安室さんのことーー。

ズキっと心が痛んだ瞬間、安室さんがまたするりと躱して左腕を私の腰に回した。

身のこなしが軽すぎる!

あれ?そういう問題でもないのかな…?



「貴女も、帰り道お気を付けて」



そのまま力強い腕に引かれ、彼の車に乗り込んだ。





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