劇場版&番外編
□肆
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5月1日
東京サミット開催当日
私たちは東京地方裁判所に来ていた。
そわそわする蘭ちゃんを横目に、コナン君にこっそりスマホを渡す。
「昨晩話した通りのアプリが入ってたけど…指示通りそのままにしてあるよ」
「サンキュ」
「本当に抜かなくて良かったの?」
「あぁ。それより寝不足なんだろ?大丈夫なのか?」
しっかり休んできたから大丈夫だよ。
そう言うとコナン君から"ありがとな"と返ってきた。
扉が開いて境子先生と日下部検事が出てきた。
一目散に境子先生に駆け寄る。
日下部検事に頭を下げると、向こうも会釈をしてくれた。
ホークアイにしたままだったからパスコード解除してるところ見てしまった。
礼儀正しい人に対してなんてマナー違反なことを…!
罪悪感に苛まれていたら境子先生はお手洗いに行ったらしく姿がなかった。
「◇◇さん。日下部検事のパスコードって88231だったよな」
「ひぇ!?見ちゃってごめんなさい…ん?コナン君なんで分かったの?」
「暗証番号を入力する音を消してなかったから音で分かる」
だから見えても気にすることないんじゃねーか?
さり気ないフォローをしてもらった途端、コナン君の追跡眼鏡に音声が入った。
「これは昨日風見刑事に仕掛けた…」
「え!?まさかこの裁判所に居るの?」
移動して辺りを見回すけど姿はない。
建物内には障害物が多いから私の視野にも入ってはこなかった。
その時、境子先生の着メロだという音楽が盗聴器越しに聞こえてくる。
「風見刑事の近くに境子先生が…?」
「たまたま近くに居たのか?いや、音声を聞いた限り2人はしばらく近い距離にいたはず」
「たまたまじゃないってこと?」
「あぁ。…◇◇さん、警視庁まで行くぞ」
「え!?ちょ、コナン君!?」
突然走り出したコナン君。
すぐに追いかけようとしたけど蘭ちゃんから電話がかかってきた。
「蘭ちゃんごめん、コナン君が何か閃いたみたいだからちょっと調べ物してくるね!」
『分かりました。お母さんの事務所に居ますから』
「うん、後から向かうね。何か分かったら連絡する!」
電話を切って今度こそコナン君を追いかける。
スマホにUSB端末をセットして探偵バッジの発信機を調べると、既にかなり距離があった。
スケボー使ったのか移動が早すぎる。
すぐついて行かなかった私も悪いけどちょっと待ってくれてもいいのに…。
ちょっと拗ねたのは許して欲しい。
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