劇場版&番外編

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赤井さんに連れられて来た先は、彼の住まう工藤邸だった。



「あの…赤井さん?」

「なんだ?」

「私、安室さんのお部屋に行こうと思ってて」

「それを止めるために連れて来たんだが?」



思わずぽかんとした顔をそのまま向けてしまった。

安室さんの部屋に行ってはいけないということ?

どうして?



「昨晩、警察庁から"ある情報"を盗み出した女がいる」

「え…」

「安室君はそれを追っているようだ」

「私がいま彼と接触するのは危険?」

「そういうことだ」



悔しいけど、私が会いに行くことで彼を危険な目に遭わせるわけにはいかない。

ここは赤井さんの言う通りにするべきなんだと思う。

赤井さんは私たちの味方だから。



「分かりました」

「心配するな。彼はこんなところで死ぬような男じゃない」



心配するのもいいが、信じてやれ



そう言って工藤邸から出ていってしまった。

…自宅に帰っちゃダメってことかな。

今日は工藤邸にお泊まりが決定した。

コナン君に連絡をすると、家のものは勝手に使っていいと返信が来た。



寝る前にスマホの充電を、と充電器に接続したとき。

メールが2通届いていた。

コナン君からかな?



「あ。1通は赤井さんだ」



明日迎えに戻るまで極力外には出ないようにと。

絶対出るなと言わないところが彼の優しさかもしれない。



そしてもう1通は登録していないアドレスから。

迷惑メールかと思って削除しようとしたけど、誤って中を開いてしまった。



『必ず貴女のところへ帰ります』



…零さん?

もう一度アドレスを見ても意味のない文字の羅列だけ。

すぐにメールの返信をしたら即座に戻ってくるエラー。



思わず目尻に涙が滲んだ。

やっぱり安室さんは今、危険な状況だった。

今にも工藤邸を飛び出しそうな自分を必死に抑える。



落ち着け。

コナン君に協力すると約束した。

赤井さんの言う通りにすることが間違いないと自分で決めた。



安室さんは必ず帰って来てくれると信じてる。



届いたメールを削除してベッドで眠った。





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