劇場版&番外編
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例の女性は警察病院に運ばれていった。
子どもたちは博士に任せ、私はコナン君を1人にするわけにはいかないので残ることに。
神妙な面持ちで医務室から出てきたコナン君と一緒にタクシーで帰宅する。
コナン君は博士に電話をかけた。
警察病院に搬送された彼女のスマホデータの修復を依頼する。
そして光彦君が控えたメモの内容を聞いたコナン君の表情が一変した。
『スタウト、アクアビット、それとリースリングって言ってました』
「(まさか…)博士!ポアロに居るんだったな」
「ポアロに?」
『あぁ』
「じゃあ安室さんに変わってくれ!」
安室さんの名前に体が反応したけど、コナン君には気付かれなかった。
でも彼は今朝休みの連絡が入って以降、連絡がつかないという。
そのままコナン君は電話を切ってしまった。
「◇◇さん、安室さんに電話かけれるか?」
「ちょっと待っててね」
安室さんのスマホに電話をかけてみるけれど、圏外のガイダンスが流れるだけだった。
「コナン君、何かあったの?」
「…◇◇さん、いつも危険に巻き込んで悪い」
「?」
「オレの"目"になってくれるか」
コナン君の真剣な眼差しに、まっすぐ向き合う。
そのまま彼に
デコピンした。
「いってぇ!?」
「コナン君がひとりで危険に突っ込むよりよっぽどマシだよ」
「でも今回は…」
「私はずっと前からコナン君のもう一つの"目"だよ」
傍に居たいからこそ、あなた達から離れなかった。
私が役に立つのなら存分に使ってくれて構わない。
「…そう、だったな。ありがとう」
「それで光彦君のメモは何だったの?」
スタウト、アクアビット、リースリング
「それは?」
「酒の名前だよ」
「…そんな気はした」
安室さん…無事でいてくださいね
タクシーを降りて、私とコナン君は別行動に出た。
私は一度自宅へ戻り、小さな金庫を取り出した。
中を開けると綺麗なオルゴールがメロディを奏でる。
「貰った時は、絶対持ち出さないと思ってたのに」
中に入っているのはたった一つの小さな鍵。
安室さんの部屋の鍵。
気軽に使えという安室さんと、貰うことすら躊躇する私のバトルは記憶に新しい。
今はただの余談なんだけど。
鍵を持って部屋を出る。
彼のマンションに向かうため歩き出したその時
「陽が沈もうという時間から1人で散歩とは感心しないな、お嬢さん?」
声をかけてきたのは、赤いマスタングに乗った彼だった。
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