劇場版&番外編
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今朝のニュースは、昨晩起きた大規模停電の話題で持ちきりだった。
高速道路が一部大破したという噂もあったけど、死傷者は出ていないというから一安心。
ここ数日安室さんとは連絡がついていない。
そして今日はコナン君達と約束した日
「お疲れ◯◯。そろそろ上がっていいよ。来賓も帰ったし」
「あ、先輩。あとはこの資料だけ片付けてから」
「約束あるって言ってたろ。片付けくらいやっとくよ」
今日は助っ人ありがとな、と言って手元の書類を抜き取られる。
お礼を言ってありがたく帰らせてもらうことにした。
やはり妻子持ちはやることがスマートだ。
一瞬、安室さんの顔が浮かぶ。
数日連絡が取れないことなんて今までもあった。
その度に、安室さんは連絡がつかなくなることを事前に教えてくれていた。
今回も同じこと。
なのにどうしてこんなに胸騒ぎがするんだろう…?
ただ何となく寂しい気持ちになっているだけだろうと頭を振って、会社を出た。
これからみんなで水族館なんだから楽しまないと!
東都水族館
バスを降りてまずはコナン君に電話をかける。
『もしもし◇◇さん?』
「コナン君、今着いたよ。どの辺りにいる?」
『オレの探偵バッジの発信機を頼りに来れる?』
「分かった。一回切るね」
電話を切ってUSB端末をスマホにセットする。
マップを頼りに移動すると、ベンチに座っている哀ちゃんと何か話しているコナン君がいた。
「コナン君、哀ちゃん!」
「「◇◇さん」」
「子どもたち居ないけどどうしたの?別行動中?」
「あの子たちなら博士と一緒よ」
「博士そこにいるけど子どもたち居ないよ?」
「何だって!?…博士!」
コナン君が大慌てで博士のところへ走っていく。
いつもは慌てたりしないのに、何かあったのかな?
哀ちゃんが私の服の袖をくいっと引っ張った。
「哀ちゃん?」
「…っ」
哀ちゃんの怯えた表情に、思わずきゅっと彼女を抱きしめる。
耳元で小さく状況を教えてくれた。
記憶喪失の女性と出会ったが、その女性が組織の人間かもしれないと。
"ラム"
その名前に思わず私も顔をしかめてしまった。
コナン君が光彦君に電話をかけている。
「哀ちゃん。まずはみんなを探しに行こ?」
「…えぇ」
体を離そうとする哀ちゃんの手をぎゅっと握る。
震える小さな手が弱々しく握り返したのを確認して、コナン君と博士のもとへ向かった。
なかなか繋がらない電話に痺れを切らし、私たちは観覧車に向かう。
その途中でコナン君の電話に折返しの連絡が入った。
「光彦お前なぁ!」
『コナン君助けて!』
「歩美…?どうした!?」
「歩美ちゃん?」
『観覧車に乗ってたらお姉さんの具合が悪くなっちゃって…』
「彼女の容体は?」
『頭をおさえて苦しんでるよ。何か言ってるんだけど意味が分からなくて…光彦君がメモしてくれてる』
「分かった!」
私と哀ちゃんでスタッフに事情を説明する。
すぐに救急車と医務室の手配をしてくれた。
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