劇場版&番外編

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安室さんと付き合い出してからは1人でポアロに来ることが増えた。

以前はコナン君や蘭ちゃん達とお茶することが多かったんだけどな…。

嬉し恥ずかしというやつかもしれない。



そんな前置きをしておきながら、今日はコナン君とポアロにいる。



「ねぇ◇◇さん」

「何?コナン君」

「今度博士が東都水族館に連れて行ってくれるんだけど一緒に行かない?」

「東都水族館って最近リニューアルしたところだよね」

「それは楽しそうですね」



安室さんがハムサンドをサービスしてくれた。

コナン君の話を聞くと、その日は午前中だけ会社に顔を出さないといけない日だった。



「仕事終わってから遊びにいこうかな」

「うん。そうしなよ!」



〜〜〜♪

「あ、ちょっと失礼」



安室さんのスマホが鳴り、私達から離れて電話に出る。

何を話しているかは分からない。

詮索する気はないんだけどね。

ただ、私たちに背を向けてる安室さんの表情が一瞬だけ怖くなった。



「失礼しました」

「安室さん、大丈夫ですか…?」

「えぇ。心配しないでください」



にっこり笑うその表情は、いつもより少し固く感じた。

詮索はしないけど、心配なものは心配。



「本当なら僕が水族館へ送って行って差し上げたいんですがしばらく忙しくなりそうで」

「ふふっ、その気持ちが嬉しいです。ありがとうございます」

「◇◇さん1人で来れそう?」

「うん。駅からバスも出てたはずだし」



確かにそうだとコナン君は納得した。

安室さんからは変な人について行っちゃダメですよと言われて頭を撫でられる。

何歳だと思っているのかと膨れていたら、膨らんだ頬をつつかれた。



安室さんの表情がさっきより表情が柔らかくなった気がする。

ちなみにコナン君は毎度のことながら呆れ顔。



「もしかすると、しばらくは連絡も返信が遅くなるかもしれません」

「あ、気にしないでください。それよりも無茶だけは…」

「大丈夫ですよ。でも連絡はいつでも待っていますからね」

「安室さん、最近◇◇さんにべったりだったもんね」

「心配しなくてもこれからも大事にするさ」



大事にするという言葉に思わず頬が赤くなる。

再び呆れ顔になるコナン君と一緒に、そろそろ帰ろうかとポアロを出た。





ーーーーー



◇◇さんとコナン君がポアロを出る姿を見送りながら先ほどの電話を思い返す。



「はい、安室です」

『ハァイ、バーボン』

「!…ベルモット」

『アナタ、最近コソコソ調べてるみたいね』

「調べてる?何をです?」

『それが分かってたらこんな電話しないわ』

「…ですよね」

『ま、ほどほどにしとくのね。アナタ目を付けられてるみたいだから』

「"目を付けられてる"って…誰に?」

『ジンよ』

「……」



ジンの名前が出たとなると迂闊に身動きが取れなくなる。

◇◇さんとコナン君に万が一のことがあってはならない。

まずは僕のすべきことをしなければ。



日本のためなら民間人を見捨てるような僕が、まさかここまで絆されているとは。

存外悪い気もしていない自分に自然と笑みが零れたのは誰にも知られることはなかった。





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