劇場版&番外編

□III
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「蘭ちゃん!園子ちゃん!」



彼女達を見つけた。

しかしその姿は、タワー壁面にしがみついている蘭ちゃんとそれを必死に支える園子ちゃん。

血の気が引くのを感じながら、蘭ちゃんの腕を引っ張る。



「ごめん園子…◇◇さん…なんかもう力が…」

「蘭!!」

「蘭ちゃん!!」



蘭ちゃんの力が限界に達する。

その時ーーー



「蘭姉ちゃーん!」

「ガキンチョ!」

「「コナン君!」」



伸縮サスペンダーを使い、蘭ちゃんとエミリオを助けてくれたコナン君。

銃声が聞こえたから、タワーのガラスを割ったのは次元パパかな。

良かった…蘭ちゃんの無事に思わず涙が滲んだ。



「◇◇さん…」

「蘭ちゃん良かった…園子ちゃんも、頑張ったね」



ベルツリータワーのスタッフが騒ぎに駆けつけた。

ここは園子ちゃんに任せることにする。

蘭ちゃんとエミリオに怪我がないことを確認して、少し離れた。



「もしもし…安室さん?」

『◇◇さん、どうしました?』

「エミリオがホテルから居なくなったのはご存知ですか?」

『何故それを?今、毛利先生と手分けして探しているんです』

「彼が見つかりました」

『!?どこに…』



簡単に状況を説明した。

これからベルツリータワー近くの公園に向かうことを伝えて電話を切る。

エミリオの様子を見るに、恐らく何か理由があったみたいだし。



公園に着くとすでに安室さんが待っていた。

早すぎない!?



「安室さん!?なんでここに」

「コナン君、◇◇さんから連絡をもらったんだ。毛利先生ももうすぐいらっしゃるよ」

「もっと早く連絡していれば良かった…ごめんね蘭ちゃん」

「いいえ!まさかあんな状況になるなんて誰も思わないし仕方ないですよ!」



自分が命の危険に晒されたというのにどこまで優しい子なんだろうと思う。

エミリオが謝罪のあと、ホテルを抜け出した理由を話してくれた。



「ライブが中止になれば闇の取引も無くなるって思ったんだ」

「本当にごめんなさい。飛び降りる気なんてなかったんです」

「私こそ勝手に勘違いしちゃって」



蘭ちゃんとエミリオがいい雰囲気なので納得いかない様子のコナン君。

拗ねないの、とここ数日で何度言ったか分からないけど彼をなだめるために頭を撫でる。

その様子を見て後ろにいる安室さんの表情が一瞬険しくなる。

私がコナン君を撫でるのはいつものことなのに、どうしたんだろう?



蘭ちゃんの電話が鳴ったことでエミリオが蘭ちゃんにそれを返す。

見計らったように、コナン君がエミリオに話しかけた。

どうやらあの脅迫状は、ライブを中止するために彼自身が作ったものらしい。

チラっと安室さんを見るとそのことには気付いていたみたいだった。



「いいホテルってゴミをすぐに処分したりしないよ?」

「帰ったらすぐにカッターや新聞を隠すことをオススメします」

「一緒に糊も入ってるんだよなー」

「日本の警察すごいからね」

「ふふっ」



コナン君が警察を褒めた瞬間、一瞬安室さんがドヤ顔したのは気のせいじゃないと思う。

そして、エミリオと"絶対に取引をさせない"という約束を交わした。



「コナン君。ここからは僕も協力するよ」

「安室さんいいの?」

「あぁ。"悪いやつらを全部捕まえる"んだろう?」



日本で闇の取引なんて、降谷零としても我慢ならないんだろう。



「私も出来る限り協力しますよエミリオ」

「そんな!女性を危険な目に遭わせるなんて」

「優しいんですね。大丈夫、貴方の歌、私も好きですから。ライブ応援してます」

「…ありがとう」



「コナン君の気持ちが分かったよ…」

「だよね安室さん。面白くないでしょ」



2人がジト目でこちらを見ていたことには気付かなかった。





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