劇場版&番外編
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「(…この状態もかなり辛いわね)」
「(そろそろ起きないと流石に怪しいよね)」
静かな医務室に、目暮警部の声が聞こえてくる。
蘭と和葉は挨拶してくるというので◇◇もついていくことにした。
子どもたちに哀を頼めば勝手に外へ行くことはないだろう。
「目暮警部…」
「お、おぉ◯◯君も来ていたのか」
「はい、安室さんと一緒に来たんです」
◇◇の返答に、目暮と白鳥は顔をしかめた。
その表情に、彼らが事情を知っていることを察する。
「蘭ちゃん、和葉ちゃん。そこの自販機で飲み物買っていくから先に戻ってて」
「うん、分かった」
二人が戻っていくのを見送り、◇◇は目暮と白鳥に向き直る。
「お二人ともご存知なんですね」
「◇◇さん、貴女は…」
「安室さんから、皆を外に出さないように言われました」
「そうですか」
「スーパースネークは緊急停止させている。あとは我々に任せなさい」
◇◇は頭を下げ、皆のところへ戻る。
否、戻ろうとしたところで蘭と和葉、そして少年探偵団が泥棒を追いかけていた。
咄嗟に警部二人と一緒に彼女たちの後を追う。
ーーーーー
「まっず!なんやこのカレー!?」
「で、伊東末彦ってどんな人?」
「伊東は今年の4月4日、馬車道で起きた現金輸送車襲撃事件の犯人として指名手配されてるようだよ」
「それで除名処分になったんですね」
「興味深いのはそれだけじゃありません。
彼は大学卒業後、投資顧問会社を経営していたんだがそのファーイースト・オフィスでも殺人事件が起きてるんです」
「なに!?」
「どうだい?興味深いだろう」
「よっしゃ!行ってみようやないか」
午後6時30分
ファーイースト・オフィスに到着し、近くの駐車場へ車を停める。
入り口には『関係者以外立ち入り禁止』の文字
「禁じられると」
「入ってみたくなるんが」
「「探偵の性」」
オフィス内を歩きながら白馬がファーイースト・オフィスで起きた殺人事件について話す。
被害者は西尾正治。
大学時代、伊東と一緒に犯罪研究会に在籍していたらしい。
そしてもう一人、5月15日に自殺した清水麗子。
殺人現場を調べるも、そこは異様な現場だった。
「見ろよ服部。後頭部を撃たれたわりに出血が少なすぎねぇか?」
「そやな。そのかわりコッチにはでっかい血のシミがあんで」
「どういうことだ…。ん?安室さんどうしたの?」
「椅子についた血痕が座面に向かって真っ直ぐ垂れてる」
「おまけに見てみぃ。椅子のキャスターが撃ち抜かれて一つ取れてしもてる」
「なるほど」
「そういうことですか…」
その時、安室の携帯が鳴る。
『次のステップに進んだようだね安室探偵…解決して欲しい事件が分かったかな?』
「西尾正治氏の殺人事件ですね」
「おい、まさかアンタの正体…ちっ!切りよった」
その瞬間、けたたましいバイク音と建物のガラスが割れる音。
バイクに乗った二人組が追ってくる。
四人はそれぞれ別々に逃げることとなった。
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