劇場版&番外編

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園子に促され園内を出るギリギリまで来てしまった。

もうこうなったら蘭と和葉に全て話すしかない。

◇◇が口を開こうとした瞬間、アナウンスが流れた。



『米花町よりお越しの毛利蘭様、◯◯◇◇様、お連れの遠山和葉様。

いらっしゃいましたら至急医務室までお越しください』



「子どもたちに何かあったんとちゃう!?」

「(多分哀ちゃんだ…ナイス!)」

「ごめん園子!」



三人は医務室の場所をスタッフに聞き、園子と別れて中に戻る。

熱中症で倒れた哀が寝ているベッドに寄り添う。



「ごめんなさい…」

「いいのよ心配しなくて」

「ずっと傍に居てね…」

「生意気な子やと思てたけど、可愛いとこあるやないの!」

「(疲れるわ…)」

「(哀ちゃんありがとう。あとで今の発言もう一回やってね、録音するから)」



蘭たちの死角で、◇◇が手の甲を抓られた。

最近の哀は容赦がない。





ーーーーー



午後4時47分

場所は横浜海洋大学

別名、横浜オーシャンユニバーシティ

安室達は時計を見つつ、cryに当たる意味を探していた。

授業名、何かの略称か…と頭を捻っていると別の声が聞こえた。



「横浜犯罪研究会」

「「「?」」」

「クライムリサーチオブ横浜。僕はこのクラブが限りなく正解に近いと思いますけど」

「なんや自分?」

「僕は白馬探。君と同じ立場の人間ですよ」

「警視総監の息子で、高校生探偵やってるんだよね」

「あぁ。小学生探偵の君には負けるけどね」

「なるほどな。親父が大阪府警本部長の俺と同じっちゅーわけか」

「それだけじゃないさ」



そう言って白馬が見せた左手首には、三人と同様のID



「ホー。つまり、貴方も依頼人のヒントでここへ来たというわけですか」

「…えぇ、その通りです。安室透さん」

「僕をご存知なんですか?」

「最近とても頭の切れる探偵が眠りの小五郎に弟子入りしたと一部では話題ですよ」

「しかしそうなると、貴方の大切な方もミラクルランドに?」

「えぇ。まぁ無駄話は歩きながら。時間の浪費はそれこそcry。泣く羽目になる」









横浜犯罪研究会

扉を叩くも応答がなく、そのまま中に入る。

部屋を見回していると、安室の持つ携帯電話が鳴った。



「依頼人!?」

「あぁ。…はい、安室です」

『想像以上だよ安室探偵。《You cry》でそこまで突き止めるとは。君達には驚かされてばかりだ』

「あんなぁ。事件解いてほしいんやったらヒントくらいもっと簡単にしてくれへんか」



『そう簡単に解決されたんじゃ私は面白くない。

試しているんだよ君たちの探偵としての技量と、私の事件を解く資格があるのかをね』



「なんやとォ?」

『ここから先はノーヒント。期待しているよ、若き探偵諸君』



そのまま電話は切れてしまった。



「ノーヒントか…」

「どないせぇっちゅーねん」



そこへ、研究会のメンバーであろう男女が入ってきた。

咄嗟に白馬が、来年ここを受験するから大学OBの安室に同行してもらい見学していることを伝える。

ひとまずは信じてくれたらしい。

コナンが女性に、歴代部長の写真について訊いている。



「どうして三番目の人の写真を外しちゃったの?」

「…除名処分になったんだ。三代目の伊東さんは」



そこですかさずOBのフリをした安室が切り返す。



「あぁ、聞いたことがあります。確か、伊東次郎さん…でしたか?」

「伊東末彦さんですけど…」

「あぁそうそう。この方ですよね」



安室が写真を適当に指差すと、男性は別人を指す。

又聞きの情報だから曖昧だったと、笑いながら詫びる安室。

コナンと服部は呆れ顔、白馬は感心していた。



一度外へ出て、服部は大滝警部へ伊東末彦を調べるように頼む。

白馬の提案で学食へ行き、食事をしながら事件を調べることになった。

警視庁の情報をいとも簡単に使う白馬に、安室は人知れずため息をついた。

潜入捜査でもない私的で公安部を使うわけにいかないため、ある意味で白馬の存在は助かるのかもしれない。

安室の複雑な心境を察したコナンは冷や汗を流すしかなかった。





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